2021.09.02
博報堂DYグループが推進する広告メディアビジネスのDX化“AaaS”について分かりやすく紹介する連載をスタートします。第一回目のテーマは、メディア別広告費において依然としてトップクラスのシェアを誇るテレビ広告ビジネス領域において、運用型テレビCMによる広告効果の最大化の実現を目指しているTV AaaSについてです。
TV AaaSの具体的なサービス内容やポイントなどについて、現場で中心となってサ−ビスを推進しているAaaSビジネス推進局の佐藤 憶人、森 亮介、黒木 麻衣の3名にそれぞれのバックグラウンドなども踏まえ語ってもらいました。
――改めて、TV AaaSについて教えてください
佐藤:
テレビ広告ビジネスにおける評価指標は、その取引と同様に視聴率をベースとするのが一般的でした。我々はTV AaaSを通して、独自データ基盤を用いた多種多様なデータとの連携により、リーチ、CPAといった多様化する広告主のKPIの最大化を実現します。データ・ソリューションの力を借りて、新たな指標でプラニングからバイイング、そしてモニタリングまで一気通貫した運用サイクルを構築することがTV AaaSの目的です。
――TV AaaSによって提供可能な価値は何ですか?
黒木:
大きく3つあると思います。
1つ目は、広告効果の可視化です。広告主のKPIに応じて、シングルソースでのデータの突合や、時系列でのデータの分析など、適切な手法で効果を速やかに可視化し、ダッシュボードに反映することが可能です。
2つ目は、広告効果の最大化です。可視化したデータと、大量のテレビ出稿実績に基づくノウハウを掛け合わせて、効果最大化に向けた適切なアクションへとつなげることが可能です。プラニング、バイイング、モニタリングについて個別でも全体でも最適な実施をシームレスに対応できる体制がすでに構築できていることも特徴です。
3つ目は、新しい取引形態へのチャレンジです。成果報酬型など、広告主のニーズに合わせ、新たな取引形態の開拓によってテレビ広告の価値を高めることも我々のミッションだと考えています。
――TV AaaSによってテレビビジネスはどのように変わったと感じますか?
森:
テレビ広告の効果が可視化できるようになったことは大きいと思います。一般的にテレビの効果検証はアンケート調査に頼ることが多かった気がします。「テレビで広告を見た」と回答した人に対して、態度変容のあるなしを調査するといったものです。TV AaaSでは、実績ベースでテレビCMの接触非接触を判定できます。さらには、テレビCMに何回接触したのかも判定が可能です。そのサンプルに対し調査をかけることで、何回接触すれば態度変容が起こるかを明らかにすることも可能です。
また、WEB行動データと紐づけられますので、テレビCMによるWEB コンバージョンへの寄与、つまりCPAも計測できます。
僕はもともと放送局に勤めていたのですが、当時広告主から、「テレビ広告はデジタル広告に比べて、広告効果の透明性が低い」という指摘を受けていました。この点、TV AaaSによって、テレビもデジタルと同様の指標で管理できるようになったのは、大きな一歩だと思います。
佐藤:
そうですね。加えて、それがリアルタイムに見られることも大きいのではないでしょうか。今までのテレビビジネスは、「如何に”適切な”枠を、”効率的に”買い付けられるか」に終始していて、実際CMのオンエアが始まってからは祈るしかなかったなって。TV AaaSでは、ダッシュボードを介して、広告主と広告会社間でクイックに合意形成を行い、バイイングを最適化できるので、テレビビジネスを”運用”に近づけられていると思います。
黒木:
確かにその通りですね。”効果の可視化”と”リアルタイム性”、この二つに加えて”Actionまで繋げるコンサルタント”の存在が大きいなと思っています。自分は入社以来メディアプラナ―として、多くの広告主と対話を続けていますが、テレビのPDCAへの課題意識は強く感じていました。ツールやデータを活用してそれらしい示唆は出せるものの、実際のActionに落とした時の再現性はあまり高くなく、期待に応えられなかった経験もあります。その点TV AaaSは、ソリューションの提供だけでなく、我々コンサルタントがプラニング・バイイングのサポートも行うため、適切なPDCAサイクルを実現できると思います。
――実際に広告主にTV AaaSを導入頂き、感じること・思うことはありますか?
森:
広告主とのコミュニケーションの質が上がったな、と思いますね。今までは、我々グループの得意分野である戦略部分は強固にできていても、実際メディアバイイングに落とし込む段階になると、GRPやimpなどの”効率”の議論に終始しがちだったと思います。メディア横断でKPIをモニタリングできる環境を作ることで、メディアへの投資による”効果”や、引いてはキャンペーンを通しての”成果”といった、一歩踏み込んだディスカッションができるようになったなと感じています。
黒木:
リソース配分もよい方向に変わっているな、と感じますね。AaaSを導入し、共通のダッシュボードで効果をモニタリングする環境ができるので、”事実や結果を報告する時間”を大きく削減でき、”事実や結果をどう解釈し、今後に繋げていくのか”をディスカッションする時間が増えたと思います。
佐藤:
”可視化”をゴールではなく、スタートと捉えて、いかに課題解決に繋げるのかを考え抜くっていうマインドが現場にも浸透しつつあるのは、すごく大事なことだと思います。
ただし、まだまだ課題も多く、現在のビジネス慣習では 実現不可能な”運用”が数多く存在しているのも事実です。”テレビ運用”という言葉を、我々含め多くのプレイヤーが謳う時代からこそ、国内・海外問わず先進的なテレビビジネスのデスクリサーチや、放送局との意見交換を通して、サービスの向上に向け努力していきたいと考えています。
――実際にTV AaaSを導入頂いた広告主からは、どんな反応を頂いていますか?
佐藤:
ここでは紹介しきれませんが、キャンペーン期間中の高速PDCA(≒運用型テレビCM)を実施頂いた広告主は、「ダッシュボードにより、リアルタイムでテレビCM効果を可視化しただけでなく、詳細な分析・レポーティングに対応頂いたことで、キャンペーンの”成果”、”効果”が非常にわかりやすく理解でき、今後の社内稟議も通しやすくなった」とコメントを頂いています。
この広告主の場合、キャンペーン効果の可視化が長らくの課題で、自社で実施しようにも、データ整備など含めなかなか手が出しづらかったと伺っています。今回、TV AaaSをご活用いただき、効果の可視化とそれに基づくキャンペーン期間中のアクションが実現し、非常にご満足頂いたと感じています。
AaaSの立ち上げから現在に至るまで、広告主の課題解決に向けた提案を続けた結果、多くの「満足」のお声を寄せて頂いており、嬉しい限りです。
――TV AaaSの導入を推進する際意識しているポイントはありますか?
黒木:
まずは体制構築ですね。
これまでの運用型テレビCM事例においては、導入後のバイイングの改善など、実際のアクションまで繋げられていないケースが散見されていたように思います。我々はツールベンダーではなく、”メディアエージェンシー”として、バイイングセクションと導入検討時から連携することで、アクションまでを一気通貫したサービスとして提供が可能である点をお伝えできるよう努力しています。
佐藤:
加えて、広告主の課題に寄り添うことが重要です。
全体戦略において、テレビの役割は何なのか、本質的なKPIは何なのかをしっかり議論すべきです。議論を通して、課題解決に最適な形でAaaSを提供するための努力は惜しまないです。
森:
導入実績を通して蓄積したナレッジの活用も可能になってきました。そのナレッジを開発サイドにフィードバックすることも我々の役割の一つです。フィードバックを通して日々進化していくAaaSの全体像を把握し、的確にお伝えできるようにすることも重要なポイントですね。
――TV AaaS推進における、今後の展望や目標としていることはありますか?
森:
TV AaaSを通してメディアビジネスの価値向上を目指しています。
データ・ソリューションの充実により今までは”見えなかったものが見えるよう”になりました。さらに、AaaSを軸にさまざまな社内部署が連携することにより、今までは”できなかったことができる”体制も強化されたように思います。
これにより広告効果の最大化が可能になり、これまで以上に価値あるメディアサービスが提供できると考えています。
黒木:
テレビCM実施による成功体験をご提供できたらと思っています。
TV AaaSにより、今までどちらかといえば定性的であったテレビCMの評価を定量的にできる環境が整ったと考えています。メディア戦略としては最適でも、効果検証が理由でテレビCMの実施が難しかった広告主にもTV AaaSを含めて改めてご検討頂ける機会を増やすことが目標です。
――最後に、記事を読んでくださった方に一言お願いします
佐藤:
AaaSの強みは、我々”コンサルタント”がソリューションの導入から具体的なアクションまで一気通貫で最適解をご提示できることです。
リリース済であるAaaSソリューションについては、現在も広告主のご意見を参考に、改善・開発を進めています。皆様のリアルな課題をお教え頂ければ頂くほど、AaaSは進化し、ご提供できる価値も向上していくと考えています。是非気軽にお声がけ頂きたいです。
佐藤 憶人
博報堂DYメディアパートナーズ
AaaSビジネス推進局 プロデュース1部
ビジネスコンサルタント
黒木 麻衣
博報堂DYメディアパートナーズ
AaaSビジネス推進局 プロデュース1部
ビジネスディベロップメントプラナー
森 亮介
博報堂DYメディアパートナーズ
AaaSビジネス推進局 プロデュース1部
ビジネスコンサルタント