2022.02.24

AaaSによる広告メディアビジネス革新の現場⑧
Googleのツール/データを活用した“Tele-Digi AaaS”の現場
〜外部データを活用したテレデジ運用の最適化〜

博報堂DYグループが推進する広告メディアビジネスのDX化「AaaS」について分かりやすく紹介する本連載。第8回目のテーマは、Googleのツール/データを活用したTele-Digi AaaSについてです。その具体的な内容や導入結果などについて、サービスの導入や推進を担当する博報堂DYメディアパートナーズAaaSビジネスプロデュース局の笛木 康人と、メディアビジネス基盤開発局の早川 直輝に対談してもらいました。

導入ハードルを下げ、「テレデジ統合運用の民主化」を目指す

導入ハードルを下げ、
「テレデジ統合運用の民主化」を目指す

先日リリースしたGoogleのツール/データを活用したTele-Digi AaaSについて教えて下さい

早川:
Googleのツール/データを活用したTele-Digi AaaSは、テレビとデジタルを同じ指標で統合運用・最適化することによって広告主のKPIを最大化させるサービスです。

笛木:
従来、テレビはアクチュアルGRP、デジタルはインプレッション/クリック/コンバージョンなど、それぞれ別の指標で運用をしていました。しかし、我々を取り巻く環境がデジタル化していくことにより、今まで以上にデジタルメディアの影響力は増しています。テレビとデジタルそれぞれ独立して運用するのではなく、Googleのツール/データを活用し、統合的に管理・運用していくことで、KPI最大化を図り、クライアントのマーケティングや事業成果に貢献したいと思っています。

早川:
このTele-Digi AaaSについて、具体的には2つの機能があります。
1つ目は、アナリティクス機能です。テレビとデジタルの出稿におけるアクチュアルリーチやコストの実績をインプットデータとして、KPIを最大化させるメディア配分を導く分析ができます。また、同じ計算ロジックを用いて、あるリーチに到達するための最小予算とそのメディア配分も求めることができ、それによってテレデジの最適メディアプランを作成することができます。
2つ目は、テレビとデジタルを統合管理・運用するためのモニタリング機能です。テレデジの出稿状況をダッシュボード形式でライブモニタリングすることで、常に最新のKPI進捗状況を把握することができ、媒体ごとやターゲットごとでのKPI効率比較が可能となります。これにより、出稿期間中でのテレデジ運用最適化を実現できます。

笛木:
この2つの機能を活用し、運用最適化を目指していきますが、おすすめの活用方法としては、アナリティクス機能、モニタリング機能の順に使っていただくことです。まずアナリティクス機能を活用してテレデジ最適プランを作成し、そのプラン表に基づきキャンペーンを開始いたします。キャンペーン開始後、モニタリングによってKPI達成効率が良いメディアを発見、そのメディアへ予算アロケーションを行うことで、KPI最適化を目指していきます。

早川:
もちろん、モニタリング機能、アナリティクス機能の順に活用するのも良いですし、それぞれ単体で活用するのも良いですね。

笛木:
はい。ここは得意先のキャンペーン状況、課題感に合わせて、どのような活用法が良いかを検討していきます。

なぜGoogleツール/ソリューションを活用するのでしょうか?

早川:
このサービスでは、アクチュアル実績を取得するためにトラッキングツールを活用する必要があります。トラッキングツールはすでに様々なものが存在していますが、その中でもGoogleのツールはクライアントがすでに活用している場合が多く、新規でツールを用意することがないことから、導入ハードルの低さが大きな優位点だと思っています。

笛木:
そうですね、メディア運用サービスを導入する場合にコストがネックになってはいけません。特にこのサービスは、「テレデジ統合運用の民主化」を一つのテーマとして推進しています。どのようなクライアントにも幅広く使っていただくために、すでに導入済みのツールを有効活用し、コストを極力抑える工夫は必要ですね。

早川:
また、Googleのツールを活用すれば、リーチ、web来訪、態度変容、実来店などのアクチュアルデータを取得することができます。ひとつのプラットフォームで一連のファネルをカバーしているのはGoogleがトップレベルではないでしょうか。各データの定義やセグメント条件も揃っているので、今後の機能拡充を考えると、とても使い勝手が良いですね。

現場を巻き込むことで、開発からPoCまでスムーズに

現場を巻き込むことで、
開発からPoCまでスムーズに

どのようにプロジェクトを進めていったのでしょうか。進めていく上で注意した点などありましたら教えてください。

早川:
プラットフォーマーのデータ/ツールを活用したTele-Digi AaaSの開発にあたって、いかに現場ニーズを汲み取れるかが大きな鍵だと思いました。そのため、プロジェクト発足当初からメディアプラナーの笛木さんにジョインしてもらい、現場ニーズファーストでサービスを構築していきました。

笛木:
テレデジ運用サービスの開発において、重要なのはどのように活用してもらうか、活用した結果、どのような示唆が得られそうか、というストーリーを描くことだと思っています。今回、プロジェクト発足時にチームにジョインできたので、どのようなサービスが求められているか、どういう機能があれば便利か、どのような視点で数値を見ていくのか、という点を最初の段階から開発チームと連携できていたと思います。

早川:
現場を巻き込むことでのメリットは要件定義面だけではありません。要件定義の際に、開発中のサービスを導入したいクライアントを想定して動いていました。そのおかげで、要件が鮮明になることはもちろん、PoC実施先も早く決定することができました。

笛木:
私はメディアプラナーとして定常的にいくつかのクライアントの案件に携わっており、そのクライアント案件のメディアプラニングを想定しながら要件出しを行っていました。そのため、実際にサービスが構築完了間近の時には、担当クライアントへサービスの提案をすることができました。Tele-Digi AaaSの考え方に賛同してくださるクライアントが多く、PoCも短期間に複数件実施することができ、サービスの型化までスムーズに行えたと思っています。

このサービスは、どのような商材に有効でしょうか?

笛木:
現段階で対応しているKPI指標はリーチ&フリークエンシーになりますので、リーチをKPIにしている商材はもちろん、認知度や好意度をはじめとする態度変容指標、来店などの行動指標をKPIにしている商材も相性が良いと考えています。というのも、態度変容や行動変容といったKPIではクリエイティブや競合とのSOVが影響してくるため、テレデジのメディアパフォーマンスの管理としてはターゲットリーチが運用指標のベースとなります。そのため、ターゲットのリーチ&フリークエンシーを最適化する、という目的をもったあらゆる商材に適していると思います。その中でも、他のKPIが取得しづらい一般消費財や、あらゆるターゲットにリーチする必要があるマスプロダクトには特に有効です。

早川:
仮に態度変容指標をKPIとする場合には、キャンペーン開始前に調査を実施し、態度変容が起きうる有効フリークエンシーを発見することで、その結果をもとにしたテレデジの最適運用が可能になります。この事前調査・分析を実施することで、今まで経験や感覚をもとに決定していた目標フリークエンシーをアクチュアル実績ベースで把握することができます。このサービスの効果を増幅させるステップになりますので、こちらもぜひ活用いただきたいと思っています。

メディアプラナーがツールを使うことで
運用レベルを最大限に高める

メディアプラナーがツールを使うことで
運用レベルを最大限に高める

実際にサービスを導入した結果はどうでしたか?

笛木:
実際に運用してみて良かったことは、常に先手先手で動けることですね。従来の場合、テレビとデジタルそれぞれ単体での速報レポートは集計・確認していますが、テレデジ統合の数値となると、キャンペーン終了後に集計し振り返ることが多いです。そうなると、実はテレビの方が効率が良かった、逆にデジタルの方が良かった、など、蓋を開けてみたら実はこうだった、という事がしばしばあります。このサービスを使ったことで、日次でテレデジ統合でのKPI推移やその効率を追えることで”良いメディア”をキャンペーン期間中に探ることができ、すぐさま効率の良い媒体へ予算アロケーションをすることができました。結果として、あるクライアントのキャンペーンでは、ターゲットであるM1F1へのリーチが想定よりも40%向上しました。まだ、始まったばかりのサービスですが、継続利用意向もクライアントからいただいております。

早川:
リーチが40%向上はすごいですね。当たり前かもしれませんが、このサービスの機能である分析やダッシュボードを使うだけでメディア運用が完全効率化できるとは思っていません。この機能とともにメディアプラナーが並走し、分析やダッシュボードから得られた数値をもとに示唆を得ることで、KPI最大化に向けたメディア運用に繋げてもらいたいです。

今後の展望を教えて下さい

早川:
現状このサービスで使用できるKPIは第一弾としてリーチ&フリークエンシーを用意していますが、今後、web来訪や態度変容、来店の指標もKPIとして順次拡大予定です。これによって対応できる商材が増えていくと思うので、今まで導入が進められなかったクライアントに対してもテレデジ統合運用を推進していきたいと思っています。

笛木:
そうですね、活用できるKPIの選択肢が増えることは良いですね。テレデジの出稿で目指すべきKPIやターゲットは常に固定されるというわけではなく、事業ステージや競合動向、商材特性等によって常に流動的です。我々が目指すのはあくまでクライアントの事業成果への貢献ですので、その時々にあった最適なKPIとターゲットを設定したうえで、このツールによって運用レベルを最大限に高めていきたいと思います。また、我々がマネジメントしていくものとしてターゲットリーチなどのメディア運用視点とともにクリエイティブ評価の視点も非常に大事になってきます。テレデジ運用において、両者の運用を最適化することで得意先の事業成果に貢献していきたいと思います。

早川:
今後の機能アップデートについてはGoogleと適宜連携をとっており、最新のソリューションなどの情報をキャッチアップ・活用検討をしていくことで、更なる機能拡充を目指していきます。

笛木 康人

博報堂DYメディアパートナーズ
AaaSビジネスプロデュース局
プロデュース1部
ビジネスデベロップメントプラナー

早川 直輝

博報堂DYメディアパートナーズ
メディアビジネス基盤開発局
開発推進部
ビジネスデベロップメントプラナー

博報堂DYメディアパートナーズ プライバシーポリシー
© Hakuhodo DY Media Partners Inc.All rights reserved.
お問い合わせ