集英社が中心となり、開発している雑誌総合誌面制作プラットフォーム「MDAM」において、一元管理されている雑誌コンテンツのデータを活用して、雑誌のメディア価値を可視化/向上する取り組みに、AaaS Tech Labの青山 / 樋口が協力し、分析を担当しました。
MDAMには、雑誌の誌面を構成する画像やテキストデータ (フォントサイズ等のstyle情報含む) が蓄積されています。
今回は分析対象として、複数社が共通して出版している美容業界の雑誌を選定し、集英社様、講談社様、小学館様との協業により、「MAQUIA」「VOCE」「美的」における約3年分のテキストデータを利用した分析を行いました。
大きく2つのテーマで分析を進めました。
1. 3誌横断頻出ワードランキング
3誌を横断した単語の集計を行い、特定の分析軸において、美容誌としてどのようなワードがよく頻出するのかを算出しました。
集計軸としては、形容詞/副詞など表現的な観点のものや「人物」「体のパーツ」などの観点からも集計を行いました。ここでは、固有表現抽出と呼ばれる、文章中から人物名や商品名といった固有名詞を抽出する手法を用いることで、単語を抽出しました。
形容詞の集計では、一つ前に現れる単語も見ることで、具体的にどういった訴求のされ方がされているのかも可視化しました。
2. 雑誌コンテンツのSNSへの影響
3誌は毎月販売されるので、それぞれの月で取り上げられるコンテンツがいくつかあります。ここでは雑誌から発信されたコンテンツが、どのようにSNSへ影響を与えたのかを分析しました。いくつかのコンテンツを選定し、SNSのデータにはX (旧Twitter) のTweetデータをコンテンツが発信された日時に合わせて取得しました。
例えば「純欲メイク」と呼ばれる、うるっとした水光ツヤ肌に、ピンクをメインに使うのが特徴的なメイクは、元々SNSで話題になっている最中に、雑誌で取り上げられており、SNS上での出現回数が増加していました。出版社の公式アカウントに対する特集ツイートもリツイートされていたこと等からも反応があったことがわかります。
また雑誌ではメイクのポイントや見せ方等の紹介がされる一方で、SNS上ではメイクに対する感想・意見が多い結果でした。雑誌で訴求が行われ、そのアンサーとしてSNSで反応が起きていたと推察できます。
こうした分析を経て、「雑誌コンテンツが世の中のトレンドの発信源になりえる」「雑誌が世の中のトレンドにお墨付きを与えている」という仮説を得ることができました。
MDAMのデータ活用の今後について
美容3誌の分析を通じて、雑誌の特徴をデータで客観的に捉えることができました。このことは広告主にとっては、媒体選定時の一助となりますし、出版社にとっては、媒体資料の充実に繋がります。今回は美容ジャンルに集中して分析しましたが、今後はジャンルを拡張し、もっとブランドとメディアのwin-winなマッチングに貢献できるデータを提供できればと思っております。またHDYグループ社員にウェビナーで紹介した際、多くのマーケターから「自分も実際に触ってみたい」という声を頂きました。時代のトレンドをポジティブに描き出す雑誌コンテンツをデータソースにすれば、実用性の高いトレンド分析のダッシュボード構築できるかもしれません。
こういった形で、AaaS Tech Labはメディアやビジネスの最適化などを目的としたデータサイエンス活用はもちろん、メディア・コンテンツ領域へのAI技術応用も進めております。
もしご興味を持っていただけた方がいらっしゃいましたら、worksをご覧いただいたり、contactからご連絡いただけたりしますと幸いです。