浜松市の観光実証実験である「はままつオトミヤゲ」
[1]にて、AaaS Tech Labが企画・開発に携わりました。
「はままつオトミヤゲ」
[2](以下、オトミヤゲ)は「音楽の街 浜松の思い出を音楽として、お土産に持ち帰る」をコンセプトに、浜松を観光した思い出を入力すると旅のエンディングテーマがミュージックビデオとして生成される体験です。
静岡県浜松市の観光を考えると、バイク産業や音楽産業などが盛んなことを活かしたイベント、有名アニメのモデル地、浜名湖をはじめとした自然、アジア圏を中心としたインバウンド需要など、多岐にわたる特徴を持っています。
その一方で浜松市の観光DMOである「公益財団法人 浜松・浜名湖ツーリズムビューロー」様にとっては、それら全てにわたる(特に定性的な)観光動態を把握することは容易ではないという側面もあります。
そこで我々は、観光客の方々にとって魅力的であり、観光DMOにとっては浜松の未来の観光戦略立案に資する。そんなキャンペーンを目指し、オトミヤゲという体験企画を考え、制作しました。
オトミヤゲでは「音楽の街 浜松の思い出を音楽として、お土産に持ち帰る」というコンセプトを実現する為に、下図のようなシステムを開発し、「思い出を音楽に」しています。
具体的には、旅の目的やニックネームといった「旅のあらすじ」と、自身で撮影した写真や思い出の文章といった「旅のエピソード」を3つ入力すると、ChatGPTや音声合成モデルによりミュージックビデオが生成されるという形です。
ChatGPTには写真も入力しており、何気なく撮影した写真も詩的な表現になることもあります。
また、多言語音声合成システムを開発しており、日本語だけでなく、英語・中国語(簡体・繁体)でも楽しむことができます。
観光の終わり、歩き回った疲れも感じながら一息ついたカフェ、眠気混じりで会話もポツリポツリとなりがちな帰りの車内、後ろ髪引かれるような名残惜しさも感じつつ通過する新幹線の改札口。そんな旅の終わりにどこか所在なさのようなものを感じた経験が誰しも一度はあるのではないでしょうか。そして所在なさを、なんとなくSNSなどを見て埋めるといったある意味の現代的な過ごし方に、少し勿体なさを感じないでしょうか。
旅の終わりにオトミヤゲをつくる・視聴する体験を通じ、インスタントカメラや卒業アルバムの余白にコメントを書き込むような感覚で、浜松観光の魅力を振り返りつつ、どことなく感じる所在なさを少しでも満たしてもらう。そんな体験の提供を目指しました。
例えば「思い出」として入力した各自のニックネームは、オトミヤゲ映像の最後にエンドロールとしてクレジットされます(下図、右端参照)。そういった、皆さんの旅だからこそ生まれるエンディングテーマを、一緒に旅した方々や、帰宅後に待つご家族などと、お土産として楽しんでいただくための工夫も散りばめました。