コラム
IMCプラニング
広告業界100年の“疑問”を解決せよ! ~テレビ大変革期に訪れた“疑問”解決の大チャンス!!~
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「広告費の半分が無駄という事は分かっている。だが、どっちの半分が無駄か分からない」(byジョン・ワナメーカー)
広告業界に身を置くもの、特に広告投資計画に深く関わっている我々プラナーは、常にこの言葉と戦っているのかもしれない。100年前の言葉である。「巨人・大鵬・卵焼き」と言われた時代、あるいは「バブル期」と言われた時代の遥か昔から今に至るまで、この言葉はある種の説得力を持って生き続けているように思える。しかし実際、現在もその通りなのだろうか?100年前には無かったインターネットの世界では、この“疑問”を少なからず払拭することが出来ているかもしれない。
テクノロジー/データ解析の進歩によって、本来の広告の定義「広く告げる」の後の「行動(クリック・成約等)」も捕捉できるため、さすがに『半分』と言うことはないのではないか。
では、日本の広告費の大部分を占め、マスメディアの代表格テレビについてはどうだろう。
「テレビCMは(最も)効果があるのは分かっている。でもどのくらい?」と思っている広告主は、実際多いと思われる。まさに、冒頭の言葉通りだ。

そもそも、テレビCMが冒頭の言葉に当てはまると言われるのは、
◆実際テレビはどのくらい見られているのか?
◆見られた後、どのくらい効果(検索、来店、購入等の行動)に繋がっているのか?
という“疑問”があるからではないか。

この2つの疑問を、今まさに起こりつつある「テレビ大変革期」の可能性と言う観点から解決することで、テレビCMにおける“ジョン・ワナメーカー”の言葉を否定してみたい。

◆「実際テレビはどのくらい見られているのか?」を解決する

テレビはその誕生以来、「家の中」で、「テレビ受像機」で、「リアルタイム(その時1回だけ)」で見ると言う視聴形態であったため、視聴実態の把握もこの形態に合わせて行われていた(現在の視聴率調査)。しかし、近年は「外」で、「パソコンやスマホ等」で、「タイムシフト(録画再生)」で見ることができるようになっている。つまり、「いつでも、どこでも、好きなデバイスで」視聴できるようになりつつある。この部分は、現在の『視聴率』にはカウントされないため、本当のところの視聴実態が分かり難くなっている。

このような視聴形態の変化から、新たに視聴実態を把握するデータも徐々に出てきている。
先日公表された「タイムシフト」視聴率もその一つ。昨今視聴率低下と言われているが、この「タイムシフト」視聴率を考慮すると、過去との視聴率差はそれほど大きくないことも分かる。
※フジテレビ「HERO」の視聴率は、2000年版は34%。2014年版は21%、さらに「タイムシフト」視聴率は12%だったので、実際の視聴実態は、2000年版と2014年版は同等レベルなのかもしれない(もちろん、リアルタイムで見て、タイムシフトでも見ている人はいるので、単純な足し上げはしてはならない)。

又、最近はスマートテレビと言われるテレビ画面でインターネットやSNSなどのサービスが利用可能なテレビも登場している。 このテレビは、インターネットに「結線」されているので、物理的には、インターネットと同じように、詳細な視聴行動が『分かる』テレビである。つまり、いつ見たのか?どの番組を見たのか?どこを早送りしたのか?が、視聴ログ(履歴)として『分かる』のである。
さらに、先に発表された在京民放5局共同による見逃したテレビ番組をインターネット上で視聴できる「見逃し視聴(動画配信サービス)」が実現すると、こちらも、詳細な視聴ログが『分かる』と言うことになる。

◆「見られた後、どのくらい効果(検索、来店、購入等の行動)に繋がっているのか?」を解決する

近年、MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)に代表される高度なデータ解析によって、メディアの効果検証の精度は格段向上している。
さらに、先程触れた「スマートテレビ」や「見逃し視聴」と、消費関連(カードのID等)やサイト訪問履歴等の「効果」データを繋げることで、テレビCMを見た後のリアルな効果測定が可能となる。
つまり、あるCMを見た人が、その商品を買った(もしくは商品サイトを訪問した)が“一直線”で分かるため、CMの効果が一目瞭然となる(アンケート調査を繋げると、テレビ視聴と態度変容の関係も判明する)。
ジョン・ワナメーカーさん、如何でしたか?100年間殆ど変わることの無かったあなたの言葉は、この数年間の大きな変革期に、少なからず否定されるハズである。
もちろん、効果予測(データによる過去の傾向)をいかに正確に測定できたとしても、プラニングの際には、まだ見ぬ未来の生活者をいかに「動かすか」といったことが不可欠なため、無駄を完全に『ゼロ』にすることはできない。
しかし、限りなく『ゼロ』に近付けることは近い将来できそうなので、その時には、ジョン・ワナメーカーさん、前言撤回してくれますね!

*視聴率:ビデオリサーチ社による関東の世帯視聴率のこと

河村徹生 統合コミュニケーションデザインセンター プラニング部 メディアプラニングディレクター

1997年朝日広告社入社。ラジオテレビ局、新聞局にて、メディアバイイングを担当。​2003年博報堂DYメディアパートナーズ入社。メディアマーケティング局をはじめ、現在の統合コミュニケーションデザインセンターにて、自動車・通信・食品・飲料・家電等様々な業種のプラニング業務に従事。

※執筆者の部署名は、執筆時のものであり現在の情報と異なる場合があります。

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