コラム
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統合コミュニケーションの統合って 「何を統合しているんだろうね?」っていう話。
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広告業界も当社も、猫も杓子も「統合コミュニケーション」と騒いで久しい昨今。
かくいう、僕がいるconcreatも統合コミュニケーションを専門とするクリエイティブユニットなのですが、ふと冷静になったときに、「果たして僕らは何を統合しているのだろう?」と思うのです。
今回のコラムではそんなお話を出来ればと考えています。

統合しなきゃならんもんがたくさんありすぎる。

統合コミュニケーションと聞くと最初に思い浮かべるのは「タッチポイント」の統合でしょうか。CMだけでなく、新聞や雑誌、屋外広告、企業サイト、ソーシャルメディアなど、多岐にわたるタッチポイントの組み合わせやシナリオの設計をイメージされる方が多いと思います。一方で、タッチポイントを真に統合しようとすると、今度は「クリエイティブ」を統合する必要があります。また、もっと上位概念で見ると、デジタル的な発想とマスメディア的な発想の統合、広告とPRの統合、さらにはマーケティングとコミュニケーションの統合、サービスやプロダクトとコミュニケーションの統合などなど。
言い始めたらほんとキリがありません。結局のところ、何を統合しなきゃならんのだ?と。

「出口」を統合する為には、何よりも「入り口」が重要

そんな統合ブームの昨今ではありますが、僕が統合コミュニケーションをプラニングするために最も大切にしているのは、アウトプットやプラニングなど、いわゆる“出口”としての手法の統合ではなく、一番最初の“入り口”である「問い」、つまり課題の設定をシャープにするという点です。統合コミュニケーションのプラニングというと、「全メディアを使わなきゃ」「マスと連動してソーシャルメディアをうまく活用しなきゃ」とついつい“手段”ばかりに目が行きがち。けれど、もしかしたら、統合コミュニケーションなんて本当は必要ないのかもしれない。

そもそも、広告をつくることが解決方法ではなく、例えばサービスやプロダクトをつくることが解決になるかもしれない。何が課題なのか、オリエンの背景にある問題はなんなのか。そういった「問い」そのものをシャープにしていくことで、必然的に「何と何を統合しなければ解決できないのか?」はたまた「何も統合しなくても解決できるのか?」といった事が見えてきます。

僕がお手伝いをさせていただいたオークローンマーケティング社の「倒れるだけで腹筋ワンダーコア♩」キャンペーンもこの考え方に基づきプラニングしたものでした。「CMからWEBに誘引して刈り取るLead to Web型のダイレクトCMを作る」、というのが最初の出発点でしたが、「CM基点にモノを売る」という問いをシャープにしていった結果、「CMから検索を促すダイレクトクリエイティブとバズ経由で検索を促すバズクリエイティブの統合」という「Lead with Buzz」型のアウトプットに至りました。

統合コミュニケーション=「三つ目が通る」プラニング!

問いをシャープにしていく為には、「複眼的に考える」、つまり「視点を統合する」必要があると思っています。課題をこっちの視点でとらえたらどうだろうか?この課題はこういう立場にたつとどういう問題になるのだろうか?そうやってあっちの視点、こっちの視点をいったりきたりしながら考えるのです。
僕が思うに統合コミュニケーションとは、プラニング手法やアウトプット形態など出口の統合ではなく、入り口の「問い」を見つめなおす「視点の統合」なんだと思います。複数の視点から問いをシャープに研ぎすませ、アウトプットを導きだす。「三つ目が通る」プラニングこそが統合コミュニケーションプラニングなんだと思います。そしてもっともっと三つ目どころか、十個の目が通るプラニングが出来るようになりたい、と僕は思っています。

最後になりますが、僕が好きなアインシュタインの格言に次の様なものがあります。

「牢獄から脱出しないと命がない。時間は1時間しかないという時、
55分を問いを立てるのに使い、残り5分で脱出の答えを得る」

僕はアインシュタインではないので解を得るのに5分では全然足りないけれど、
それでも、もっともっと自分の視点を増やし、
良い「問い」をたてられる様に切磋琢磨していきたいと思います。

須之内元也 統合コミュニケーションデザインセンター クリエイティブ部 「concreat」所属

2006年博報堂DYメディアパートナーズ入社。I-メディア局にてデジタルコミュニケーションのプラニングに従事。その後、全メディアのプラニング・プロデュースを行うセクションを経て、2012年より現職。
ACC TVCF部門シルバー、カンヌ広告祭サイバー部門ブロンズの他、TIAA、電通賞などの受賞歴有り。最近の仕事に、「爽健美茶 国民投票」「ファンタ×ゴールデンボンバー 謎解きキャンペーン」「オークローンマーケティング ワンダーコア」等。

※執筆者の部署名は、執筆時のものであり現在の情報と異なる場合があります。

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