コラム
データマーケティング
一般消費財の気分購買に貢献するブランドイメージの発見
COLUMNS

マーケティングにおけるデータ分析の活用がこれほど盛んになった背景のひとつに、計算機の発達があります。PCの普及とともに、専門家や研究施設でなくても、誰でも簡単にデータ分析が行える時代になったのです。競技人口が爆発的に増えた一方で、分析対象となるデータの量と質も広がってきています。

個人が大規模なデータを扱えるようになったのと同じように、企業が扱えるデータも大きくなりました。ダイレクトマーケティングが中心の事業会社では、cookieや着電の情報を使って生活者の傾向を分析し、顧客データベースを構築することが可能です。しかしそれは、扱っている商品の購買行動に十分な検討期間があり、検討の度合いによって生活者が態度を変え、さらに態度変容の過程をリアルタイムに計測できるからだといえます。

では、一般消費財、たとえば清涼飲料水の場合はどうでしょうか。ダイレクトマーケティングよろしく、購買時点からさかのぼって考えると、清涼飲料水は検討期間が非常に短いことが分かります。保険商品のように、常日頃から複数の商品を想起し、ブランドサイトや比較サイトを確かめ、最後は指名検索から購買、とはいきません。自宅や生活導線で緑茶の広告に接触しても、複数の商品を事前に比較したりはせず、店頭に来訪して急に検討する場合が多いのではないでしょうか。このような購買導線を「検討購買」に対する「気分購買」と呼んだとき、気分購買における比較検討の瞬間はデータとして取得できないのが現状です。

昨今では機械学習の研究が進み、予測や判別の領域で力を発揮しています。他方、機械学習はデータの取得にも活用することができ、あらゆる店舗で気分購買の比較検討をデータ化できる日が来るのも遠くないように思われます。しかし2019年現在はまだ、ほとんどの店舗で生活者の心情と行動は不明のまま、気分購買が行われています。

この過渡期を乗り越える強力なツールが、広告接触、意識調査および購買データがひとつになったSSP(シングルソースパネル)です。博報堂はSSPを使って、購買時点の前後のデータから、店頭のBLACK BOXで何が起きているのか推測し、広告活動におけるどの要素が購買に貢献しているのか確かめるソリューションを開発しました(特許申請中:特願2018-211508)。ある一般消費財メーカーで実施したケースでは、自社ブランドが競合他社にシェアを奪われている要因イメージの特定と市場全体の需要に対するスイートスポットを発見することができました。このソリューションは博報堂のあらゆるマーケターが使うことができ、他のツールと組み合わせることで、購買に貢献する適切なKPIを定めてコミュニケーションに活かすことができます。

今回は一般消費財でのケースをご紹介しましたが、博報堂では、今後もクライアント企業の業種、業態の課題にあわせたソリューション開発を進めて参ります。
是非、ご相談ください。

★本記事は博報堂DYグループの「“生活者データ・ドリブン”マーケティング通信」より転載しました

久保 翔達 博報堂DYメディアパートナーズ メディアマーケットデザイン局
データサイエンス部

2013年博報堂DYメディアパートナーズ入社。
ダイレクトクライアントを中心にデジタルマーケティングを担うかたわら、突然データサイエンスに目覚め、現在は数理モデルを用いてマーケティング、ROIマネジメント、コミュニケーションの立案に従事している。

※執筆者の部署名は、執筆時のものであり現在の情報と異なる場合があります。

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