コラム
データドリブン
DMPは本当につかえる仕組みなのか? 〜「Querida」の開発背景
柴田貞規データドリブンビジネスセンター データマネジメントプラットフォーム部長
2年ほど前から、データマネジメントプラットフォーム(以下DMP)と言葉を広告業界でよく見かけるようになりました。その少し前からDMPの構築やら実践についてグループ会社とともに取り組みを始めていたのですが、当時は社内でもDMPは全く理解されてない状態でした。「DMPただの箱でしょ?」とか「儲かるの?人員無駄じゃないの?」といったネガティブな反応も多く、個人的にはその毒気にあたり、なんだか疲れていた気がします(笑)
2014年4月博報堂DYグループは中期経営計画がスタートし、本格的にデータドリブンマーケティング領域への取り組みが開始され、その1つの象徴として「DATA WiNGS(データウィングス)」の名称でチームが設置されました。マーケティングスタッフ、データ解析スタッフ、プラットフォーム企画開発スタッフが一同に集まったデータドリブンマーケティングの専門チームです。
個人的にも、「データプラットフォーム」と「データ分析」だけでは、広告主の皆さまや生活者の方々に価値を提供することが難しいと感じていたので、マーケティング専門スタッフの合流は非常に心強かったです。
■DMPとは、一体何なのか?
約2年にわたって広告会社にとっての「データドリブンマーケティング」や「DMP」とは一体何なのか?どういう価値を誰に提供できるのだろうか?その価値は本当に広告主の視点で見ても大切なものなのだろうか?を考え続けてきました。アドテク先行型のDMPの文脈では、どうしても技術優位性が先立ちお金を払っていただく企業への価値が横に置かれていた気がします。さらに言えば、当初DMP!DMP!を声高に叫んでいたわりには、従来のCRMの機能拡張として捉える「プライベートDMP」と呼ばれる仕組みの使い方はわかっていたのですが、「パブリックDMP」と呼ばれる第3者データを活用したDMPの使い方はよくわかっていませんでした。
DMPを用いたサービスの開始当初は、ディスプレイ広告の配信において、キャンペーンのターゲットがいそうなウェブサイト・コンテンツのCookieを購入して、より「濃い人」を見つけて配信し、CTRやCVR、CPAといった指標を改善することができ、一定の成果は出せていました。ただ、この改善レベルだとマーケティングの大きなうねりというか、潮流を作ることはできないなと感じていました。
DMPが大きな潮流を作るには、企業のマーケティングの本質的な課題を解決できるものにするしかないという思いが強くなっていきました。
■広告主のニーズヒアリングから、新規顧客獲得のための「Querida」を開発
そこで、改めて幾つかの広告主の皆さまにお話を伺いにいき、データとは関係なくてもいいのでマーケティング上の課題について聞くことを始めました。その結果、大抵の企業のマーケティングご担当者様から「新規のお客様をなんとか見つけたい」という共通のテーマがでてきました。言われてみれば当然だなと思うことではありますが、テクノロジーやデータ先行でこのことが見えなくなってきていたのです。よりマーケティング活動の上流の課題ですね。
改めてチームとして「新規顧客を見つけるため仕組みづくり」に着手しました。ここでの大きな転換点は「ウェブ行動ログだけに頼るはやめよう」と決めたことでした。とある企業のキャンペーンの企画をしているときに、「アンケート調査したユーザがネット上でどう行動しているのか知ることができたら、より精緻なターゲットがわかるよね」という話になり、アンケートによる意識データ、ウェブログによる行動・興味関心データの結合をすすめよう!ということにしました。
企業のマーケティング課題をより浮き彫りにするためにはどういうアンケート設計がいいのか?アンケートパネルの皆さまはどういった行動で、どういう興味関心があるのか?といったことを従来以上に深く精緻に調査した上で、それら2つのデータを統合して分析する取り組みを行いました。
この結果生まれたサービスが先日発表した「Querida」シリーズです。
「Querida」は博報堂DYグループのDMPの機能の1つにすぎません。今後も大きくかつ本質的な企業のマーケティング課題に真剣に向き合い、それらを解決する仕組みの開発を進めていく予定です。
(参考)
「博報堂の“生活者データ・ドリブン”マーケティング」に関する詳細は、コチラ