コラム
データドリブン
ここからはじまる、生活者DMP第二章
柴田貞規(しばた さだのり)データドリブンビジネス開発センター
ここからはじまる、生活者DMP第二章
博報堂DYグループが持つ生活者データと、「リアルタイム・365日の生活者の情報行動や購買行動のデータ」「メディアやコンテンツなどの接触・嗜好データ」「先端テクノロジー」を掛け合わせて開発され、これからの、あらゆるマーケティング活動の基盤となることが期待される「生活者DMP」。その開発、運用に携わるデータドリブンビジネス開発センターの柴田貞規が、生活者DMPが迎えようとしている次なる展開について語りました。
クライアントとメディアの最適なマッチングを可能にする
まず生活者DMPについて改めて説明します。博報堂DYグループが2014年から本格的に機能開発の取り組みを開始し、24時間365日、生活者が何を何で見て、何を買い、どう動いているのか、何を思っているのかといったあらゆる生活者データを収集、分析することで、生活者理解の解像度を上げていくという取り組みです。
生活者DMPは、ターゲットの再規定や新規顧客の開拓に活用するなど、企業のマーケティング課題の解決のための機能・ソリューションです。これらを進化させるために、これまで収集してきたデータと“メディア側の視聴データ”の収集、分析を進めているところです。
簡単にお話します。
博報堂DYグループは、先日、Atma(アトマ)という新しい生活者DMPの1つのソリューションをリリースしました。これは、100万台規模のテレビ視聴ログデータを活用したサービスです。そのデータと生活者DMPにある既存のデータが紐づけることで、1つの番組を見ている人たちが、どんな銘柄のビールを飲みどんな時計を使い、どんな車に乗っているのかといったことが見えてくるようになります。生活者のメディア視聴からの行動の実態がどんどん分かってくるようになってきています。
これが進んでいくと、企業がアプローチしたい人と、その人が接触しているメディアや場所をより心地よくマッチングができるようになってきます。「生活者にとって心地よい、企業とメディアの最適なマッチング」を可能にすることが生活者DMPの進化させたいポイントです。これは、生活者DMP開発の次のステージ、第二章です。
目指すは「耳時間シェア」 ラジオクラウドの事業がスタート
いま現在取り組んでいるプロジェクトの一つに、「ラジオクラウド」というサービスがあります。ラジオ番組を無料で聴取できる音声コンテンツ配信プラットフォームで、現在64のラジオ放送局・出版社等がコンテンツを配信しています。
radikoは、本放送と同時刻にリアルタイムで聴ける。ラジオクラウドはダウンロードして聞きたいときに聴ける。リスナーの利便性を考えると、時間軸の異なるサービスどうしなので、競合せず共存できると考えています。
現状、スマホ広告は音声がオフの場合を想定して作る必要性が強いです。
しかし、ラジオクラウドは、もともと音声を聴くために準備している状態のときに利用されます。ですので、音・音声を大切にしながらCMクリエイティブを開発し、聞いているリスナーの方が、不快な思いをしないように広告配信していこうと考えています。
社内でよく語られるのが、いまや“目の時間”は奪い合いになっているが、“耳時間”には空きがあるということ。目と耳は同居できるので、両方から同時に入ってくる広告は、より記憶に残りやすいのではないかと考えています。これからは「耳時間シェア」の奪い合いが始まりますね。
シーン・モーメントの多様化へ対応していかなくてはならない生活者DMP
いま我々の生活の周囲には、スマホがありPCがあり、さらにはスマートスピーカー、スマート家電、スマートカーなど、あらゆる機能がオンラインで利活用できるデバイスが溢れています。生活者のタッチポイントがますますオンライン化しています。
こういう環境の中で、広告会社は、「誰が」「いつ」「誰と」「どんな場所で」「どんな環境で」「どんな気持ちで」生活者は今いるのか? を出来る限り正確に、広く知っておく必要があると思っています。
生活者のことをより詳しく知ることをテーマに生活者DMPは作られていますが、今後も、よりいっそう情報・データを収集、活用し生活者の実態を把握していくようにしていこうと考えています。
★こちらのコラムは博報堂DYグループの「“生活者データ・ドリブン”マーケティング通信」より転載しました