コラム
IMCプラニング
データとアイデアで媒体投資戦略をリード
COLUMNS

■“変化”は、もうイシューではない。

メディア環境の変化が扇情的に言われるようになってもうどれくらいたったでしょう。曰く、デジタル化がすべてを変える!云々、マスメディアの終焉?云々。そのような極端な解釈を声高に言う無知、無責任な予言をしたり顔で言う無策は、辛うじてパンデミックを免れたように思います。広告/メディアに関わる多くの見識ある実務家のみなさんが、賢明にも行き過ぎた言説に一種逆説的なノスタルジーや、身勝手なセルフマーケティングのにおいを嗅ぎ取ったということでしょうか。
“変化”そのこと自体はもうイシューではなくなりました。私たちが目を向けなければならないのは、変化がもたらす恩恵のほうです。紙幅の都合もあるのでここでは変化を追認することはやめましょう。では、目を向けるべき恩恵とは何か。今(正確には博報堂DYグループが常に見据えつづけてきた未来への通過点としての今)、私たちメディアプラナーが扱えるデータは大幅に増え、アナリティクス技術も飛躍的に進化しています。テクノロジー開発、コンテンツホルダーやプラットフォーマーとの新しいパートナーシップが次々と強化され、アイデアを具現化するアクティベーション力は格段に高まっています。
アナリティクスによって昨日まで見えなかったことを今日発見できる。アクティベーションによって今日閃いたことを明日実現できる。こうしたことは確かに恩恵と呼ぶこともできるでしょう。しかし、メディアプラナーとしてはもっと謙虚に、もっと野心的に捉えなければいけないんじゃないかと思うのです。変化の恩恵とは「メディアプラニングの可能性が拓かれた」そのことだと捉えるべきではないかと。それはつまり、可能性を実現するまでは未完であるという認識をあえて持つこと。そう考えると、今ほどメディアプラニングの真価が問われているときはない、ということに思い至るわけです。

■メディアプラナーとして抱える、大いなるプレッシャー。

プラニングの可能性が拓かれた。よし!おもしろくなってきた!ブルっと武者震いするような高揚を覚えつつ、一方でここ2~3年、大きなプレッシャーを感じていたというのがこれもまた偽らざるホンネです。プラニング部のマネジメントに携わるようになったことも少なからず影響があったのでしょうか、自分たちの存在価値への自問、可能性の実現への焦燥は尽きませんでした。私たちはどれだけプラニングの価値を高められているだろうか?新しい価値を得意先に提供できているだろうか?進化や革新といった耳ざわりの良い言葉が持っている重たい本質にちゃんと向き合えているだろうか・・?
 メディアプラニングに関わるマネジメントからプラナーまで、私たちのモチベーションの根っこにあるのは、媒体投資戦略をより良くするのだというメディアのプロフェッショナルとしての使命感であり、得意先企業/担当者の力強い意思決定をすぐ横から支えたいというビジネスパーソンとしての貢献欲です。これらのモチベーションを、どうすれば創造的なパフォーマンスにつなげられるのか。考えて、やってみて。また考えて、またやってみて。データやアイデアとの取っ組み合いを続ける中で、プラニングの可能性を追求するために必要な筋肉、体幹のようなものが強くなっている実感を持てるまでになりました。

■データとアイデアで投資戦略をリードせよ!

分析のための“So what”分析に価値はありませんし、目的を忘れた“Why so”アイデアも必要ありません。メディアプラナーは、この取っ組み合いに負けたらダメなんです。
「データとアイデアで媒体投資戦略をリードする」これは私が部員たちに何度も繰り返し言っている掛け声です。より実証的で、より独創的で、よりアクショナブルな提案へと向かうこと。私たちのミッションは、アナリティクスとアクティベーションを統合して投資効果を創り出すことに他なりません。やさしい問題ばかりのテストで100点を取って喜ぶように小さな達成に満足することなく、常に前かがみの姿勢で、可能性の高みに挑みつづけるのです。
プラニングの創造力で、私たちに寄せられるすべての期待にこたえていきたい。まだまだ、ハードなチャレンジは続きます。(プラナー諸君、覚悟しなはれ!)

中澤 壮吉 統合コミュニケーションデザインセンター プラニング部長

1995年博報堂入社。新聞局、サイバーメディア部(兼務)を経てプラニング部へ。2004年より6年間の博報堂営業職を経て博報堂DYメディアパートナーズ メディアコンテンツソリューション局に復職。国内を中心に海外(アジア・パシフィック)を含めたプラニング領域の経験は15年に渡る。2012年度に統合コミュニケーションプロデュースセンター部長、13年度より統合コミュニケーションデザインセンタープラニング部長。

※執筆者の部署名は、執筆時のものであり現在の情報と異なる場合があります。

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