コラム
メディア・コンテンツビジネス
新市場を創る。動画広告への取組み。
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2015年8月4日に開設したローカルメディアの蓄積する動画コンテンツのポータルサイト「ニッポンナビチャン」。
多くのメディアで取り上げられ、今、注目を集めています。
その開発背景や今後の展望について、開発担当者のメディアビジネス開発センター矢木野桂一郎が語ります。

「動画広告」への着目

生活者のメディア環境が劇的に変わる中で、媒体社のビジネス環境も過去に類を見ない速度で変化し続けています。
特に映像系メディアの接触時間の変化は大きく、トータルの視聴時間こそ増加傾向ですが、リアルタイム視聴からタイムシフト視聴やオンデマンド視聴への流入傾向が見られるなどの課題に直面しています。「決められた時間に、自宅のテレビをじっくり見る」といった、数年前までは疑うことなく定着していたメディア行動は減少し、生活者が自ら、好きな時間に、好きなサービスやコンテンツに、直接アプローチする様になりました。
この様に既存のメディアビジネスモデルが縮小傾向で推移していくと、メディア事業会社/広告会社も、テレビ局を始めとする既存のメディアも厳しい状況に置かれます。
この減少分を補い、拡大させる為に我々に何ができるのか。
可能性のある領域の一つとして「動画広告」に着目しました。

日本の動画広告市場とプレミアム動画

日本の動画広告収益を拡大する為には、まずは動画サービスやコンテンツを充実させて市場自体を形成する必要性があると感じています。
欧米とは異なり、広告主が安心・安全に出稿できるメディア自体が限られている為です。
そこで私たちは、普段から様々な業務で連携している媒体社やコンテンツホルダー等のプロが制作したコンテンツに着目。この「プレミアム動画」による新たな動画市場の土台づくりに踏み出しました。
プレミアム動画の中でも特に着目したのがローカルテレビ局の番組コンテンツ、そして出版社・新聞社・ラジオ局がこれから制作するであろうコンテンツです。
ローカルテレビ局は、地元に密着した情報やコンテンツを保有する、その地域を代表するメディア企業です。みなさんも各地を訪れた際に、テレビを通してその土地ならではの視点でのワイドショーやニュースが放送されているのを目にされたことがあるかと思います。あのコンテンツこそ、各地域の魅力、ひいては日本の魅力を映像を通してわかりやすく表現した魅力溢れるコンテンツの一つだと感じています。
出版社・新聞社・ラジオ局は、現状では「動画コンテンツ」との関連性は低いですが、
欧米ではこれらトラディショナルメディアによる動画サービス・動画広告ビジネスが確実に増えています。
各社のビジネスドメイン媒体の価値を補佐して高めるために、積極的に「動画」が活用されています。

「VMS」開発の背景

日本の動画市場を盛り上げるべく媒体社とメディア開発を進める過程で、一つの課題に気づきました。
それは、一部の映像系巨大メディア企業を除く媒体社の多くは、動画ビジネスに着手したくても初期のシステム導入やサイト制作のコストが大きな負担となって最初の一歩をなかなか踏み出せないということです。
自社で所有するコンテンツの少ない媒体社や、映像ビジネスを本業としていない媒体社にとっては動画ビジネスに取り組むこと自体のリスクがとても大きいということに気づきました。
そこで我々が開発したのが「VMS(Video Business Management System)」という動画ビジネスソリューションです。
「VMS」は動画配信サーバー、広告サーバー、ウェブサイト構築を簡易化するCMS、SNS連携やEコマースなど、動画配信ビジネスに必要な様々な機能をワンストップで提供することができます。
媒体社やコンテンツホルダーは、動画コンテンツを用意していただければ、「VMS」を活用して無償※で動画ビジネスに着手することが可能です(※コンテンツの権利処理や再編集費用は各社負担となります)。
こうして配信したコンテンツを視聴者が見た際に得られる広告収入を、媒体社とレベニューシェアするビジネスモデルへのチャレンジです。
動画ビジネスで新たな収益獲得の可能性を追求したい媒体社と、動画メディアやコンテンツを拡充して日本の動画広告市場を創造したい博報堂DYメディアパートナーズとの思惑をマッチングさせてWIN-WINの関係を構築したいと考えています。

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博報堂DYメディアパートナーズオリジナルの動画ポータルサイト開発

ローカルメディアが持つ地域ならではのディープな動画コンテンツを集約すると、非常に価値の高いサイトになるのではないかと考えました。
また、色々なローカルテレビ局の方と話をしていて感じたのは、「自分たちが制作した番組コンテンツをもっと多くの人に見てもらいたい」という制作者の思いでした。地上波では視聴エリアが限られますが、インターネットを使えば全国に、もっと言えば世界に向けて発信できます。
そこで開発したのが「ニッポンナビチャン」です。
これは、主にローカルテレビ局のコンテンツを系列局や地域の枠組みを超えて集約した、博報堂DYメディアパートナーズが運営する動画ポータルサイトです。
先述の「VMS」のシステムをベースに開発し、既に多くのコンテンツをご提供いただいています。
コンテンツは、今後さらに増えていく予定です。
また、一つのコンテンツをニッポンナビチャンだけに留めず、各メディアページや他動画サイト等と連携させてビジネスの機会を拡大することも検討しています。
今は動き始めたばかりの「ニッポンナビチャン」ですが、インバウンド市場の拡大や2020年東京オリンピック・パラリンピックを見据えた情報発信の必要性が高まる中で、いずれは大きなビジネスへと拡張できるのではないかとの期待と意志を持って取り組んでいます。

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「メディアパートナー」として

コンテンツが無いと、視聴数が増えない。
視聴数が増えないと、広告収入につながらない。
よく「ニワトリとタマゴの関係」と言われますが、同じことが今の日本の動画市場でも起きています。
今、まず重要なのはプレミアムなコンテンツを多く揃えることです。
その為にも、まずは「VMS」を軸に、我々がメディアパートナーとして向き合わせてもらっている媒体社・コンテンツホルダーの力を借りながら、ビジネスの基盤を早期に創りたいと思います。
また、今回の取組みやご提案を通して、従来博報堂DYメディアパートナーズががお付き合いしていた媒体社・コンテンツホルダーとの新しい関係性構築にも繋がりました。
動画広告という「新しい市場を創ること」に対して皆非常に積極的で、私たちも日々刺激を頂いています。
動画メディア開発を起点としながらこの新しい潮流に乗り、媒体社と共に手を取り合って新たな時代を切り拓く、ビジネス開発の先導役・コンサルテーションとしての役割も、果たしていきたいと思っています。

矢木野 桂一郎 メディアビジネス開発センター 開発二部

電機メーカーのプロダクトマーケッターとしてキャリアをスタート。
米国留学を経て2001年博報堂入社。ストラテジックプラナーとして10年間クライアントビジネスに従事。2011年より事業開発業務に従事し、現在は動画メディア開発、動画広告市場の創造に取組んでいる。

※執筆者の部署名は、執筆時のものであり現在の情報と異なる場合があります。

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