コラム
メディア・コンテンツビジネス
「ラジオショッピングでモノを売る」ということ。
久保田真矢ラジオ局
商品を見ることも触れることもできない、“音声情報だけのラジオの「生CM」”で、多くのモノが売れていることを皆さんはご存じですか?この生CMとは、生放送中の限られた数分間にパーソナリティーや専門のキャスターが商品を宣伝して、リスナーを案内するラジオ通販のことです。
博報堂DYメディアパートナーズのラジオ局に所属する私は、このラジオ通販のキャスターとして、生CMの読み原稿を書いたり、実際キャスターとして番組に出演することを仕事の一つにしています。
扱う商品は、無料の食品サンプルから高価な家電や宝石まで多岐にわたり、多い時には1回の放送で千件以上の注文があることも!商品を見たり触れたりできないけれど、音声だけの情報はリスナーの想像力を膨らませ、好奇心を揺さぶるのです。
出演する際には、リスナーの置かれた状況に思いを巡らせ、パーソナリティーさんと掛け合いをしながら、商品を紹介していきます。
例えば、主婦層に人気の番組でインスタントコーヒーを紹介する場合は、“自分の時間をゆっくり楽しみたいだろうな” “急な来客対応もあるだろうな”と、いろいろな場面を想像し、「香ばしい香り!まるで喫茶店みたい」「急なお客様にも手軽に本格的な1杯が出せますよ!」など、生活に寄り添ったうえで、味や香りなど実際に体験しなければ分からない情報をライブ感たっぷりに伝えています。
テレビ、インターネットなどで多くの通販CMがあふれる中、『耳で味わえるラジオショッピング』に一人でも多くの人を惹きつけるため、「生活が豊かになるもの」を見つけて発信し続けること。また丹念なリサーチやさまざまな工夫が1本の電話注文につながっていくと思います。ラジオを通じて、企業とリスナーのかけ橋になれるよう、生だからできるライブ感を大切にしながら、ラジオショッピングを広げていきたいです。
撮影協力:ラジオNIKKEI(マーケットプレス)