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メディア環境研究所
メディア定点調査コラム2018【5】 ソーシャルメディアから見る、つながりと情報の「遠近」×「濃淡」
新美 妙子博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所
博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所が年1回定点観測している「メディア定点調査」から生活者のメディアライフを読み解く、メディア定点調査コラム。今回は、ソーシャルメディアの利用状況を分析していきます。
【調査リリース】「メディア定点調査2018」時系列分析
メディア定点調査2018によると、10代の女性(東京)の3人に1人(2018年:34.5%)は「世の中の情報の発信元は、ソーシャルメディアやまとめサイトなどのネットメディアだ」と思っている[図1]。
このことは、若年層へのソーシャルメディアの浸透度を象徴的に表している。2012年から調査しているソーシャルメディアの利用状況のデータをご紹介しよう。
地域差より年代差 60代の4割がソーシャルメディアを利用
2012年に2~4割(東京37.7%、大阪28.7%、愛知24.8%、高知21.0%)の人が利用していたソーシャルメディアは、2018年には6~8割(東京79.0%、大阪74.5%、愛知76.8%、高知63.9%)が利用するようになり、僅か6年で急速に伸びた。2018年の東京・大阪・愛知の利用率は70%台となり、地域差はなくなりつつある。
2018年の利用率を年代別に見ると、4地区とも10・20代の9割が利用していることがわかる[図2]。
ソーシャルメディアを使っていない若年層はほぼいないと言ってよい状況だ。最も利用が少ない60代の利用は4割前後と、若年層とは開きがあり、年代の差は大きい。とはいえ、いまどきの60代は4割がソーシャルメディアを利用しているのだから驚きである。
個性溢れるソーシャルメディアのサービス
サービスごとの利用率を見てみよう。東京を例にとってみると、LINE は7割、Facebook とTwitterは4割、Instagramは3割の人が利用していることがわかる[図3]。
たまに会う知人とのやり取りや近況はFacebook、ニュースの閲覧や興味のある情報の検索はTwitter、身近な人とのやり取りはLINE、ビジュアルでの自己表現や情報収集はInstagramと、それぞれのサービスを使い分けている様子が見えてくる[図4]。
サービスごとに個性があって、使い方も異なる為、単純な利用状況の比較は賢明ではない。目を引くのは、ここ1、2年のLINEとInstagramの伸びである。中高年層のLINEの利用が伸び、10・20代男性と30・40代女性のInstagramの利用が伸びているからだ[図5・6]。
「スマホを持つ中高年層が増え、子や孫の影響でLINEを使い始めた」、「若年層の男性が女友達の影響でInstagramを使い始めた」「若年層の女性の傾向が上の世代の女性に広がっている」といった情景が目に浮かぶ。
人のつながりと情報の「遠近」×「濃淡」
データから見えてくることは多いが、すべてが見えてくるわけではない。サービスの使い方は人それぞれであるし、1つのサービスに新たな機能が付加されれば、つながり方や使い方が変わる。
Twitterの複数アカウントの使い分けや、Instagramで自分の濃密な世界観を表現する一方で、24時間で消えることが前提であるInstagramの「ストーリーズ」にいまの状況をアップして、たまたま見た人だけに伝えるという、人とのつながり方や求める情報の変化はデータからはなかなか見えてこない。
生活者インタビューなどから見えてきたソーシャルメディアを通じた人とのつながりや、求める情報を「遠近」と「濃淡」という観点から考察していこう。
趣味のアカウントで知り合った人と濃くつながってオフラインで盛り上がる、会ったこともない外国人をフォローして買物の参考にする、いま自分がいる場所を時間限定で呟いて、その場に来た友人と遊ぶなど、人との関係性や物理的距離の「遠近」もあれば、興味や必要性の有無という情報の「遠近」もある。
淡いつながりや濃密なつながりという人との付き合い方の「濃淡」もあれば、さらっと知っておくだけで十分な情報や、できるだけ詳しく知りたい情報の「濃淡」もある。身近な人の濃い情報が欲しいとは限らないし、見知らぬ人と淡く付き合いたいとも限らないのが面白い。ソーシャルメディアで情報発信する際に「遠近」と「濃淡」を意識することは、生活者にうまくメッセージを届ける為のヒントになるのではないだろうか。
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