コラム
メディアガイド
マスメディア系動画メディアの可能性【広告ビジネスに関わる人のメディアガイド2018 リレーコラム】#1
笠置淳行統合アカウントプロデュース局動画ビジネスデザイン部
マスメディアからインターネット、アウトドアまで、広告メディアについてのあらゆるデータを収録した書籍『広告ビジネスに関わる人のメディアガイド2018』(博報堂DYメディアパートナーズ編)が、全国の有力書店・オンライン書店で販売されています。「メディアガイド」は、博報堂DYグループの社内向け冊子を2015年に初めて書籍化したもの。2018年版は、メディア環境研究所所長の「情報のデジタル化から生活のデジタル化へ」と題したインタビューも収録しています。コラムでは、本書の編集に関わった博報堂DYメディアパートナーズ社員が、各メディアのトピックを紹介します。
放送局などによるマスメディア系動画市場が始まって数年が経ちますが、サービス自体はもちろん取り巻く環境においても本当に大きな変化がありました。
放送番組を見逃した人向けに動画を配信する、キャッチアップサービスは全く何も決まっていないところから各放送局が手探りで歩き始め、TVerというポータルを作り、配信のルールや指標についても一から整備を行ってきました。その間にテレビ朝日とサイバーエージェントがAbemaTVという新しいサービスを開始しましたし、広告モデルではありませんが放送局の手がけるSVOD(定額制動画配信)サービスに関しても様々な動きがありました。
ネット環境の急速な発展はコンテンツと広告に動画という新しい選択肢を増やしましたが、放送局が手掛けるいずれのサービスにおいても、これまでの動画サービスと異なっているのは“クオリティ”だと思っています。メディアガイド2018の座談会でも触れていますが、この“クオリティ”をユーザーが評価し、そして広告主が評価していく地点が必ず来るでしょう。
しかし動画市場において“クオリティ”が指す意味が何かということは、もっともっと深い議論・検討が必要だと思っています。長い時間を掛けて制作したコンテンツということだけではなく、一方で多くのユーザーが見ているということだけでもないでしょう。
オンライン化によって様々なデータを取得することができるようになりましたが、それは評価の視点が多様化してきていると捉えることもできます。我々広告会社には、広告主毎の評価基準とそれに基づいた広告出稿の最適化設計、そして実行を求められています。広告の効率だけでなくこの“クオリティ”をどのように評価していくかということは、そのフローにおいて非常に重要な課題になります。
今後テクノロジーが発展し、これまでできなかった動画サービスが生まれ、新たな広告手法やデータ取得、そしてバイイング手法が可能になっていくことになります。新しいものを積極的に活用していくことは大事だと思いますが、同時にその結果を正しく評価し、次のプランとアクションを行っていくことも必要となります。その対応を素早く行うことができれば、マスメディア動画市場には大きな可能性があると思いますし、今年度はそこに取り組んでいきたいと考えています。
■AdverTimes「メディアガイド2018」リレーコラムより転載
【リレーコラム バックナンバー】
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