コラム
メディアガイド
変化に対応できる出版社のビジネスモデル【広告ビジネスに関わる人のメディアガイド2019 リレーコラム】#5
小池まどか雑誌局 業務推進部
雑誌の発行部数は引き続き減少傾向にありますが、スマートフォンなどの普及にともない、読み放題サービスのUU数は継続的に伸長しています。
そんなデジタルシフトの煽りを受けながらも、2018年の業界全体を見渡すと、出版不況といわれる中で、80年前の名著を漫画というコンテンツに置き換え210万部越を達成した書籍が生まれたり、読者組織や優良なインフルエンサーを抱える美容誌などでは、それらを活用したプロモーションやコンテンツ制作に期待が寄せられたりと、ターゲットセグメントメディアとしての価値が見直され、さらに、質の良いコンテンツはターゲットに最適な届け方をすれば必ず響くという可能性を改めて感じることのできる1年でした。
いつの時代も雑誌は、最新情報やトレンドを世の中に発信し、ムーブメントを起こしたりライフスタイルに影響を与え続けてきたメディアです。また、1つのテーマを掘り下げた1テーママガジンや業界専門誌などは、徹底した取材力や編集力、専門知識に特化した人脈などが特に活かされる雑誌ならではの分野で、私たちの知的好奇心を満たしてくれるある種「偏愛」的な要素を持ったメディアでもあります。
無料でいつでも情報を容易に手に入れることができるがゆえに、フェイクニュースや出典元が不明瞭な情報をつかまされることも多いこんな時代だからこそ、お金を出してでも信頼できる価値ある情報やコンテンツを手に入れようとする人が増え、雑誌=出版社が作る個性のあるコンテンツはロイヤリティの高いメディアとしてさらに見直されていくと思います。
そして、変化の激しい世の中に対応するために出版社側もさまざまなビジネスモデルを模索し続けています。他メディアとの連動はもちろん、読者会員データを活用したリード施策やインフルエンサーマーケティング、雑誌ブランドを活用したECやイベントのプロデュース業務、さらにはライツビジネスなど、自社のプロパティを最大限に活用しながら新たな価値を提供しています。
そんな出版社を私たち広告会社は『コンテンツプロデュースパートナー』として迎え、雑誌=紙に捉われず、その使い方や置き場所さえもともに設計し、広告主の課題解決に繋げることが鍵となります。そのためにも、私たちは出版社の原点でもある「雑誌そのもの」がもつ絶対的な個性やブランドを尊重し、維持できるようにバックアップしていきたいと思います。
■AdverTimes「メディアガイド2019」リレーコラムより転載
【リレーコラム バックナンバー】
#1 テレビの再価値化とデータ連携の可能性
#2 テレビの環境変化とデータの拡張
#3 ラジオと音声広告のこれから
#4 時事性を高めて活性化する新聞広告、進むデジタル化