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2020年、アドマンの理想像とは?(ad:tech tokyo2015より)
REPORT

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2015年12月1、2日の2日間にわたって開催された、デジタルマーケティングの最新情報が集まる「ad:tech tokyo2015」。初日に行われた本セッションでは、アビームコンサルティング(株)の本間氏がモデレーターを務め、(株)オプト八田氏、(株)RightSegment石川氏、(株)電通佐伯氏、博報堂DYメディアパートナーズの柴田が登壇。アドマン=広告業に携わる人々の将来あるべき理想像について活発なディスカッションを展開しました。
(以下敬称略)

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 ■理想のアドマンとは?

本間:本日はいずれも最先端のアドマンの方々4名に集まっていただきました。2020年、広告主から信頼され、さまざまなメディアに対応できるアドマンとはどんな人物なのか。広告業界全体の視点からボールドに語っていただければと思います。基本的なところですが、まずはそもそも、各自が思うアドマンって何?という話から聞かせてください。

柴田:博報堂DYメディアパートナーズの柴田です。ふだんDMPを担当していますが、テクノロジーが進化してきて、広告主さんからすると一つ一つが細かくてわかりにくくなっているので、それらについてシンプルにわかりやすく話せるのが重要じゃないでしょうか。広告キャンペーン全体を扱うという点では、統率力やリーダーシップも必須かと思います。

石川:RightSegment代表の石川です。アドマンは“人のことをよく知っている”必要があると感じます。絶対的な情報量として、いまの実態、生活、地域も含めてどれくらい知っているかというのがポイントじゃないかなと思う。

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八田:オプトの八田です。僕は、基本的には広告主やメディアから見て「丸投げができる人」かどうかじゃないかと(笑)。丸投げを受け入れられる、というのが僕の理想のアドマン像です。広告主でもメディア相手でも、細かく言わなくても現状を理解、把握して提案できるかどうか。

佐伯:電通の佐伯です。僕も八田さんの意見に近い。昔からのアドマンのイメージはまさに、一言で言うとクライアントに寄り添う人ですよね。担当した会社の商品までも愛するというような。

本間:アドマンの良しあしについて、クリエイティブな評価軸と、いま出たようなクライアントに寄り添う評価軸がありますよね。一言でアドマンといっても、代理店にとって、またクライアントにとって良いアドマンとは違うんでしょうか。

佐伯:クリエイティブにしてもメディアにしても、それぞれの中で良いアドマンの定義があるような気がします。両方の領域がわかる人が出てきたら、それは新しい“良いアドマン”なのかもしれません。

八田:クリエイティブはつくりたいもの、メディアは売りたいもの、広告主は買いたいもの…ここの真ん中に立たないといけないのかなと思いますね。

本間:広告主のバジェットを見ながら、それに近いクリエイションはこっちだなとか、このクリエイターなら頼めるかなとか、調整役としてクライアントの考えをうまく引き出し、クライアントの思うような形に近づけてあげるわけですよね。クリエイティブもデジタルも複数領域を見られる人は実際少ないから、八田さんが言うような、中間地点でうまく調整役を担う人が必要ということになる。

 ■2020年のアドマン像

本間:スマホもフェイスブックもなかった5年前を考えると、この5年の変化は大きい。では、いまから5年後の2020年はアドマンにとってどんな時代になるでしょうか。

八田:いま代理店なんかは5年前にはなかった部署だらけですよね。営業1部とか2部とかは変わらなくても、機能別の部署は特に。一方で広告主さん側は宣伝部、という感じで一貫しています。でも細分化はどんどん進むはずなので、そこは悩ましいところだと思います。

本間:メディアと同様ターゲットも多様化している。セグメンテーションターゲティングはますます複雑になっていきますね。

佐伯:でもターゲティングに関して言うと、広告主さんがターゲティングしているにも関わらず、コミュニケーションしている人と実際に買っている人とが全然違うところにいるために、肝心のその人たちのところへ広告が届かなくて結果売れなくなる、なんてことも起きかねない。どこかでターゲティングが自動化できればいいと思いますが、それが5年後に可能かどうかはわかりませんね。そうなってくると今度はコンテンツ不足の問題も起きてくると思います。

八田:コンテンツが細かくなると対応できるかという問題ですね。買う側も、そんなに細かく買えないでしょうし。

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柴田:メディアを買うという作業と、僕らの感覚で言う生活者を知るっていう作業は、やっぱりわけて考えた方がいいじゃないですか。メディアを細かく買えない、だから生活者をわからないものとするっていうのは、代理店としてはむしろ大事なことを放棄するという感じがする。やっぱり僕らは、いかにいま人が複雑化してきているのか、その気持ちの部分を組み込んでいってあげるべきかと。

本間:では皆さんは2020年にどのようなアドマンリーダーを目指そうと考えていますか?

石川:アドマンというよりはマーケットの環境が変わってくると思います。広告主も、デバイスが増えたりする変化に対応するために自社の人材育成はやられるでしょうし。そのなかで代理店のアドマンに求められるスキルや役割も変わってくるんじゃないでしょうか。柔軟にスキルや専門性を変えながら、一貫して事業支援をするという形が必要なんじゃないかと思います。

柴田:妄想力が強い人が、こういう状況下で強いと思う。いろんな視点から未来を考えられる人。自分の中に引き出しが多い人たちがクライアントとのフロントにいると、いろんなソリューションが目に入ってくる。クリエイターに限らず、全社員に妄想力があればいいかと思います。

佐伯:クライアントの要望とか企業課題、マーケティング課題に向き合いながら、3つくらいの専門性をぐっと発揮していくか、それをまとめあげていくオーケストレーション、リーダーシップが求められていくのかなと思います。だから若手は一旦専門性を磨き、年次が上がればゼネラリスト的な動きができるといいかなと。これからいろんなスキルセットが出てくるでしょうから、対称軸のスキルセットがあるといいかもしれませんね。

八田:僕はそもそもいまのビジネスモデルが限界だと思っていて。広告代理店って実際はメディアマージンによりなりたっているメディア販売代理店ですよね。だからこそメディアと広告主とのバランスをとるという話なんですが、実際は広告主からのフィーよりもメディアマージンのほうが大きいいびつな構造だと思います。いまはどこに良いコンテンツがあるかわからないし、コンテンツとデリバリーがわかれている。そうなると、広告主にもメディアにも寄らない、中途半端なアドマンが増えていくような気がします。

 ■優秀なアドマンと仕事をするには

本間:では、優秀なアドマンと仕事をしたいと思ったとき、どうやって探せばいいんでしょうか?

八田:うちの予算はこうですがこれを受注すると担当はどなたですか、とはっきり聞けばいいと思いますよ。こういうスキルが欲しいので、こういうチームがいいんだと要素をはっきり言ったほうが。

柴田:要素がはっきりしていればやりやすいですけど、一方で、もっと自由に要素を増やしてもらった方がよいとも思う。実際、代理店がアウトソーシングみたいになることなく、いろんな意味でのクリエイティビティが出せるようなオリエンであれば、すごくモチベーションが上がりますから(笑)。

石川:最初からどういうチームでそれを実行していくかというイメージが広告主さんにあればいいかもしれません。分析なりキャンペーン設計なり、いろんなフローでそれぞれ得意な人がいる。そこをどういうチームで実行していくかをオリエンしていただければイメージしやすいですね。

佐伯:石川さんに似ていますが、テクノロジードリブンでいくのか、ブランドドリブンでいくのかなどの方向性をはっきり言っていただければ。そこに適応した人たちが面として対応できるように、私たちも努力します。

本間:頼み方はありそうだということですね。ただ、広告主側にとっては、代理店側の役者が見えないというのが課題としてはあるのかもしれません。以上です、ありがとうございました。

 

【プロフィール】

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モデレーター :
本間充 アビームコンサルティング株式会社 プロセス&テクノロジービジネスユニット ディレクター1992年花王入社。社内での最初のWebサーバーを立ち上げ、以後本格的にWebを業務として取り組み、1999年にWeb専業部署を設立。2015年アビームコンサルティング株式会社入社。ディレクターとして多くの事業会社のマーケティングのコンサルを行う。ビジネスブレークスルー大学講師や、東京大学大学院数理科学研究科客員教授(数学)も務める。

スピーカー:

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八田浩 株式会社オプト 取締役
2001年明治大学経営学部卒業。証券会社勤務の後、2004年株式会社オプト入社。名古屋営業所立ち上げなど営業に従事したのち、電通との資本業務提携においては協業責任者として同社へ出向。2010年オプトに帰任以来、従来の広告代理事業に加え、アドテク事業、動画事業、オムニチャネル事業のメディア/商品開発を担当。

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石川大輔 株式会社RightSegment 代表取締役社長
2005年株式会社サイバーエージェント入社。インターネット広告事業本部にて営業マネージャー、営業局長の職を行ったのち、スマートフォン広告に特化した事業部の責任者として立ち上げに参画。現在はアドテク、データ領域の事業を統括。自社商品であるプライベートDMP「RightSegment」のセールス及び設計・オペレーションを含むデータ領域全般の責任を持つ。

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佐伯諭 株式会社電通 デジタルマーケティングセンター データマネジメント部長
1998年早稲田大学大学院理工学研究科修了。デジタルマーケティング領域のデータ解析、アドテクノロジー支援などを担当。前職の電通国際情報サービスではメディア最適化システムやCRMシステムのスクラッチ開発を専門とし、プログラマー&SE歴7年。その後、外資系金融で金融アナリストとして従事。2007年より現職。データサイエンティスト協会理事。

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柴田貞規 株式会社博報堂DYメディアパートナーズ データドリブンメディアマーケティングセンターデータマネジメントプラットフォーム部部長
デジタルマーケティングプロデューサー、ブランドマーケッター、データアナリスト、データサイエンティスト、メディアプラナーらをまとめ、得意先のマーケティング課題の解決への道筋を作る。96年よりデジタル業務開始。 サイト制作、クリエイティブ開発、コンテンツ企画・編成、オンライン広告領域を幅広く経験。 現在は博報堂DYグループのDMP領域の責任者

 

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