レポート
セミナー・フォーラム
博報堂DYグループとTealiumの取り組み、そして”Team AIM”
ティーリアムジャパン株式会社が主催するデジタルトランスフォーメーション体験フォーラム「Tealium Digital Velocity Tokyo 2017」。博報堂DYホールディングス マーケティングテクノロジーセンター青木雅人、データドリブンプラニングセンター竹下伸哉が登壇し、博報堂DYグループの生活者データ・ドリブンマーケティングの展望について、またティーリアムとの取り組みについて語りました。
青木はまず、博報堂DYグループの掲げる「生活者発想」について、「普通の言葉だなと思う方が多くいらっしゃると思いますが、”生活者発想”という言葉を使い始めたのは博報堂。1981年に生活総合研究所を立ち上げて、”生活者発想”という概念を提唱しました。現在”生活者発想”や、“人を中心に考えよう”という言葉は世の中に沢山あると思うのですが、我々は30年間“生活者発想”を進めてきているので、一日の長があるのではないかと自負している。」と紹介しました。
生活者発想について「我々は生活者という言葉を“消費者”と分けて考えている。マーケティング、デジタルのコミュニケーションを行うときに、通常はお客様の捉え方が“消費者”になっていることが多いのではないか。様々なデータを統合したとしても、自分たちの広告は誰が見ていて、お店には誰が来てくれていて、どのぐらい売れていて、どのくらいファンになってくれて、どのくらいロイヤルカスタマーになってくれて…と、あくまでも“消費者”としてのデータ収集に留まっていることが多いのではないかと思う。」と語り、「我々はもう少し広い概念で、人を多面的にとらえるべきだと思っている。“消費者”の側面に加えて、例えば趣味やライフスタイル、家族の中でのポジション、仕事や家族以外でどんなコミュニティに属していているか、SNSの中でどういった情報発信をしている人なのか。これまでも商品のマーケティング戦略を検討する際に、定量調査に加えて、買物客の観察や、エスノグラフィー調査などを行って生活者発想を深めてきた。生活者の365日360度のデータが日々リアルタイムで上がってくるようになってきている今こそ、我々はこの生活者発想を一気にバージョンアップさせていかなければいけないと考えている。」と語りました。
そして「生活者発想でのマーケティングを高度化するために、今、我々が取り組んでいるのが、生活者DMP(生活者データ・マネジメント・プラットフォーム)である」と語り、「世の中全体をきちんと把握しよう。生活者を365日、360度丸ごととらえていこう。数千万のIDの人たちの動きをとらえていこう。24時間365日の動きをとらえていこう。デジタルの世界にとどまることなく、オフラインからオンラインまでどういう行動をしているのか、連続的にとらえていこう。意識と行動をきちんと両方とらえていく。こういったデータをすべて統合した生活者のDMPを作っている」と続けました。
続けて生活者DMPについて「単にデータを集めることでなく、生活者発想で捉えている。例えばブラウザのCookieのデータも、それを見ることで人々の関心がどこにあるかというところに変換できるようにCookieのデータを集めていこう。位置情報のデータも、そこにいる意味はどういう目的で、どういうライフスタイルがあらわれているからその場所にいて、どういう移動をしているのか。そういうことが分析可能な生活者のデータマーケティングプラットホーム(DMP)。アクチュアルのデータだけを集めてはいない、まるごと生活者を捉えて分析できるようなデータマーケティングプラットホームを我々はつくっている。更にいろいろなデータホルダーの方との協業を進め、この生活者DMPをより大きく、より知的で高度なものに仕上げているところ。」と語りました。
また「今、より高度なデータマーケティング基盤をつくる取り組みをしている。そのときに幾つか課題がある。いろいろなタグがあって、そのタグの統合ができていない。様々なタグがばらばらに個別最適になっているものを統合してマネジメントしていかなければいけない。それができたとしても、ブラウザの中でのタグは統合できたけれども、やはりスマホもPCも統合していかなければいけない、デバイスでなくて人で統合していく、IDで統合していくことを考えなければいけない。さらに、各パネル、サイト訪問からちゃんとお店に来てもらって購入に至るまで、まさにオフラインのデータとオンラインのデータを分断されているものを統合していかなければいけない。そういった中で、Cookieだけではなく人で、顧客IDでとらえていく。そういった流れ、課題をクリアしていかなければいけないと感じている。その時に我々がパートナーとして選んだのが、Universal Data Hubを使うことであらゆるタグの一元管理ができているティーリアムさんです。個人に関するデータを統合して、一人一人の顧客が管理できるようになる。生活者一人一人を丸ごと理解し、その人のプロファイリングや、その人たちに合わせてリアルタイムで広告を配信したり、CRMを回したりすることができる。
そんなチャレンジを我々博報堂DYグループとティーリアムさんとで進めさせていただいている。竹下にバトンタッチして、その実践ケースとワンストップのチーム体制についてご紹介させていただきます。」と話を締めくくりました。
次に登壇した竹下は、ティーリアムとの取り組みの実践ケース事例とその成果、チーム体制を紹介しました。
(※事例紹介に関するプレゼンテーションについては、当日会場限定でのご紹介とさせていただいておりますため、割愛します)
事例の紹介に引き続き、「ティーリアムを活用した課題解決を、どのようなチーム体制で推進していくか。デジタルマーケティングの範囲にとどまらず、”マーケティング”に活用するために、あらゆる対応領域に向き合えるチームを立ち上げた。名前は「Team AIM(チーム・エイム)」。ここで、KGIのようなゴール設定から、データインテグレーション、システムインテグレーション、その運用にあたってのPDCAの設計・実行といった一連の流れを一括で担えるように体制を強化している。今回、博報堂DYグループのDAC、博報堂アイ・スタジオ、博報堂DYデジタルだけではなく、TISさんにも参画していただいて、ワンストップチームを作ることができた。」と語りました。
最後に、「我々はマーケティングの課題に応える。さらにはその結果、事業の課題に応える役割を担っていく。生活者目線でデータを捉えて、タッチポイントで情報をタイムリーに届ける。それがマスなのかデジタルなのか、そこも横断する。お客様になってもらったあとのCRMでもそれを活かしていく。そうしたフルファネルのマーケティングサービスを提供していきたい。今後、こういった場で事例をお届けしたりするだけでなく、実際のビジネスでみなさまと繋がらせていただき、この領域でのご協力をさせていただければと思っている。」として話を締めくくりました。
★こちらのレポートは博報堂DYグループの「“生活者データ・ドリブン”マーケティング通信」より転載しました