世界最高の舞台「Cannes Lions」で初のセミナー開催
世界中に数多とある広告・コミュニケーション関連のアワードやフェスティバルの中でも、「Cannes Lions」は応募数や参加者数などで最大規模を誇ります。約1週間にわたり開催され、優秀な広告事例を表彰する「アワード」だけでなく、各方面の先端企業による250以上の「セミナー」や「トークセッション」も行われます。
「アワード」の受賞作品が今後の広告業界のトレンドを映し出すように、「セミナー」の中で語られることもまた、これからの広告業界の未来を指し示します。2016年の「Cannes Lions」でどのようなセミナーを実施するべきかは、現地のカンヌ事務局が「今、このタイミングで語るべき内容か」「それはグローバルな気づきを与える内容か」などの観点から、セミナーの実施を希望する世界中の企業の中から選択します。
そのような中で、博報堂DYメディアパートナーズは「Cannes Lions」と並行して行われる、ヘルスケア領域に特化したフェスティバル「Lions Health」で、会社設立以来、初めてのセミナーを実施することになりました。
ヘルスケア領域における広告会社の役割
博報堂DYメディアパートナーズは2013年から、妊婦向けのサービス「妊婦手帳」をNTTドコモと共同で開発・運営してきました。ゼロから立ち上げたこのサービスを、さまざまな試練や困難を乗り越えながら成長させ、3年経った現在では国内の妊婦の20%、国内の産婦人科の12.5%の方々に利用していただき、新たなビジネスチャンスが数多く生まれています。
世の中には取り組む意義のあることは山ほどあり、ソーシャルグッドキャンペーンも数多く実施されています。しかし、意義のあることが継続的なビジネスになるとは限りません。個人的には、特にヘルスケアではそのような傾向があると感じています。
本来は、意義があるところには生活者のニーズがあり、ニーズがあるところには市場があります。社会のニーズに対してスピード感を持って取り組み、ユーザーにとって最適な形で提供する。ターゲットだけでなく、その周辺の人々(例えば、医療従事者、企業など)にも価値を作り出す。そしてそれを社会の中で「継続できるビジネス」に育てる。これこそが、ヘルスケア領域における広告会社の役割だと思います。
「妊婦手帳」も同じで、最初は「初産の妊婦は幸福感よりも不安を感じていることの方が圧倒的に多い」という気づきから始まりました。「妊婦の不安を軽減して幸せな出産を一つでも増やす」という意義のために、妊婦が毎日使えるスマホアプリという形で生活者に提供し、妊婦だけでなく医師のニーズも取り込み、最終的に企業も巻き込んでいくことで継続できるビジネスへと昇華させています。
今回「Cannes Lions」のセミナーにエントリーする際、広告会社である私たちが「継続できる事業」を作り上げる中で得た知見は、ヘルスケア領域で業務を担当する世界中の人々にとって「気づき」になるはずだと信じ、エントリー原稿を書き上げました。生活者、医療従事者、そして企業とともにサービスを3年間継続してきた私たちだからこそ、世界中からの参加者に対して説得力をもって広告会社の役割を伝えることができると直感しました。
そして、現地のカンヌ事務局との幾多のやりとりを経て、博報堂DYメディアパートナーズ初のセミナーを実施することが決定したのです。
経験や思いが観客に届いていることを実感
私たちのセミナー“How Media is Re-writing the Motherhood Manual”は、フェスティバル初日の一番最初の時間帯でした。「初日の朝イチでは観客が来ないのでは?」「というか、そもそも人がいないのでは?」などと心配していたものの、結果としては満員御礼で立ち見も出るほどでした。
観客は大半が海外からの参加者で、質疑応答ではビジネスモデルや、病院・医師の巻き込み方、プロジェクト自体の進め方など具体的な質問が時間ギリギリまで相次ぎました。
終演後も本当に多くの方から感想をいただき、中には「博報堂DYメディアパートナーズって面白そうだな。ぜひ一緒に仕事をしよう」と声をかけていただくこともありました。「私たちの開催する広告祭でもぜひ講演してほしい」というオファーを受け、これは実現に向けて進み始めています。私たちの経験や想いが確実に観客に届いていると実感したことは、言葉にできないほど嬉しいものでした。
世界は思っている以上に近かった
1年前の自分は、「Cannes Lions」でセミナーをすることに途方もない距離を感じていました。しかし実際に終えて振り返ってみると、「あぁ、世界はこんなに近かったのか」と素直に思います。言語が違う、文化が違うと、今まで私は自分の発想を知らず知らずのうちに日本という枠の中に閉じ込めてしまっていたのかもしれません。今回の経験を通して、世界中の参加者の率直な感想を目の当たりにしたことで、そんな枠は取り払ったほうがいいことがわかりました。
広告に携わる人々が世界中から集まる最大のフェスティバル「Cannes Lions」で、「来場者ではなくスピーカーとして参加する」「客席に座るのではなくステージの上に立つ」ということを実現するまでの過程は非常に刺激的なものでした。思っている以上に世界は近く、日本は世界の中で魅力的な存在です。カンヌを”アワードの受賞の場”だけではなく、”仕事をアピールする場”として捉えることで、対外的なPR効果だけでなく、社会における自分たちの価値を再認識する機会としても活用していくことができると思います。
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