ネットのルールやマナーを学ぶ小学生向け出張「“けんさく”教室」                                     ~博報堂DYグループ「CSRレポート2016」より~

株式会社アイレップはCSR活動の一環として、2013年から小学生向け出張授業「“けんさく”教室」を開催しています。デジタルマーケティング領域の知見を活かして作成したオリジナルのカリキュラムや、インターネットとの上手な付き合い方を知る“ネットリテラシー”育成への想いなどについて担当社員の方に伺いました。

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    (株)アイレップ
    (写真左より)小泉郁貴、粂川裕介

■インターネットについて飽きずに楽しく学べる場

粂川:「“けんさく”教室」を初めて開催したのは2013年。弊社が保有するデジタルマーケティング領域における知見を活かし、検索を通じたインターネットの楽しさと注意点などについて子どもたちに伝える、弊社ならではのCSRの取組みを実施できないだろうか、と考えたことから始まりました。4回目を迎えた今年、特に重点を置いたのは、スマートフォンをはじめとしてアプリやSNSに関する情報や注意点です。特に今年は「ポケモンGO」が爆発的にヒットしたこともあり、ゲームアプリを使用する際のポイントなどにも触れました。
活動を始めた2013年当初、インターネットの主な利用目的は「検索」でしたが、インターネットを取り巻く環境はここ数年で様変わりしています。若い世代の多くが当たり前のようにスマートデバイスを所持し、生活の一部として動画サイトやSNSなどを利用しているという事実がある一方、特に小さなお子さんに対しては、教育現場でもご家庭でも「マナーや注意点について、どこまでをどう教えたらよいかわからない」という戸惑いの声もあるようです。実際、若い世代へのスマートデバイスの普及によって、コミュニケーションアプリなどを介した小中高生を巻き込んだ犯罪やイジメなどは近年増加傾向にあり、内閣府もそのリスクを発表、被害防止対策などについて呼びかけています。ですが子どもたちのほうがどんどん先にそうしたツールに触れ、使い慣れていくため、大人たち――教育現場や家庭でなかなかそのスピードに対応しきれていないという現状があるように感じます。
そういった背景もあり、「“けんさく”教室」が好評をいただいているのではないかと考えています。

小泉:今年度「“けんさく”教室」で社員が訪れたのは、株式会社ウィズダムアカデミーが運営する都内のアフタースクール3校。それぞれ15名ほどの小学校低~中学年を中心とした児童が参加しました。具体的なプログラム内容は、前半で「インターネットでできること」「上手な“けんさく”の仕方」「アプリやSNSってなんだろう?」など、各テーマに沿ってスライドを中心に学習、後半ではタブレット端末を使って実際に検索をしてみるワークショップを行います。“けんさく”教室を通じてルールやマナーなどはしっかり伝えたい反面、ネットって面白い!という気持ちを持ち帰ってほしいので、前半に難しい内容や注意点などを伝え、後半のワークショップで楽しく締める、という構成にしています。ワークショップでは、2~4名の児童につき講師が1名ずつ付くことで、各自の理解度や端末の使用経験に応じて臨機応変に、一人ひとりに対応できるようにしています。

主な対象が小学校低~中学年のお子さんなので、かわいいイラストを使ったり、クイズ形式にしたりと、飽きることなく、わかりやすく伝わるよう工夫します。その年どしで人気のコンテンツやキャラクターも異なるので、毎年チーム一丸となってブレストしていますね。年齢的にも大いに元気な年ごろなので、授業中はとてもにぎやか。隙を見ては講師の膝に乗ってこようとする子もいて、驚いたこともありました(笑)。企画の意図としては「検索によってクイズの正解を探し出すという体験を通し、具体的な検索の方法を知ってもらうこと」、また「達成感を味わってもらうこと」などがあるわけですが、なかには検索する前にすでに答えを知っていて、「どうだ」と言わんばかりに得意げな子もいたりします(笑)。子どもの数だけさまざまな反応がありますが、いずれにしても、子どもたちのやる気を促したり、ワークショップ自体を楽しく過ごしてもらうという目的は達成できているのではないかなと思っています。

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■リスクはもちろん、インターネットの便利さ、楽しさを伝えたい

粂川:彼らは我々が言うところの、いわゆるデジタルネイティブ。SNSという言葉は知らなくても、TwitterやFacebookの画面を見ればすぐに「ああ、あれか」と認識できるし、フリック入力も当然のようにこなします。内閣府の発表では10歳のお子さんのインターネット利用率は60%を超えているそうです。物心ついたころから生活の中にPCやタブレット、スマホ、携帯ゲーム機などがあって、それらに触れている。極端に言うと、子どもたちにとってのインターネットは、我々にとっての電気や水道といったものと同じレベルのインフラになりつつあるのかもしれません。

小泉:そんな今だからこそ、早期のインターネットリテラシーの教育は大いに求められることではないかと考えています。あまりにデバイスが身近であるために、倫理やマナーについて知る前に使いこなせてしまうので、そこに子どもたちにとってのリスクが生じるからです。特にSNSに関しては、いじめや犯罪と結び付けて議論される現状がありますから、たとえば「こういう使い方をすると嫌な思いをする子がいるかもしれないよ」とか、「誰かを傷つけてしまうからやめようね」などといったことも話をします。

粂川:インターネットの楽しさを伝えつつも、「図書館の本の方が正しい情報が載っていることもあるんだよ」「まずは身近な大人に相談しようね」と伝えたり、インターネットの広告専業代理店ではありますが、できるだけ公正な観点でプログラムを作成しています。
授業の目的は、やみくもにリスクをあおることではありません。やはり一番知っておいてもらいたいのは、インターネットの便利さ、楽しさ、そして正しく賢い使い方など。その点にも留意しつつ、楽しい気分で学んでもらい、印象に残った何かを持ち帰ってもらえれば嬉しいですね。
インターネットの楽しさだけでなく、ルールやマナーを伝えることで保護者の方からも好評をいただいているので、教室の規模や対象年齢の拡大などについても、今後検討していきたいですね。
いずれにしても、弊社の強みを活かすことのできる重要な社会貢献活動として、これからもぜひ、息長く続けていければと思います。

 ■プロフィール

粂川裕介(くめかわ ゆうすけ)
旅行代理店でのWebディレクター経験を経て、2006年に(株)アイレップ入社。SEMコンサルタントとしてブランディング案件から獲得案件まで幅広くSEM案件を担当。2007年株式会社レリバンシープラスの設立に伴い出向。その後2011年にアイレップへ帰任した後は運用型広告のメディア担当部署を牽引する。現在は広告運用計画管理本部の本部長として、広告運用組織の計画立案を一手に統括する他、社長室室長も兼任する。プライベートではネイチャーアクアリムに夢中。

小泉郁貴(こいずみ ふみたか)
早稲田大学卒業後、2014年に(株)アイレップ入社。コーポレートストラテジー本部 経営企画グループ(旧経営推進本部)に配属後、予算編成や業績管理などの業務に携わる次世代を担う若きエース。趣味はスカッシュ。大会での優勝を目標に日々練習中。

 

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博報堂DYグループのCSR事例が満載の「CSRレポート2016」
2016年8月、博報堂DYグループCSRレポート2016が発行されました。本レポートでは、博報堂DYグループ社員一人ひとりが独自に取り組む積極的なCSRアクションを「Advanced CSR」として紹介しています。「Advanced CSR」は博報堂DYグループの社員一人ひとりが自らの仕事を見つめなおし、それぞれが持っているナレッジやスキルを活かしながら進めていく活動です。「自分の仕事は社会的責任を果たせているか?」、「もっと社会のためにできることはないか?」と主体的に考え、生活者、社会の渦の中に飛び込み、新たな渦をつくりだし、動かしていくことによって生まれるソーシャルアクションで、今回は83件の事例を紹介しています。本連載ではその中から、博報堂DYメディアパートナーズ及び関連会社の事例をピックアップしてご紹介しています。

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