博報堂DYグループのCSRは、生活者と社会の中に「新しい幸せ」を生み、つなげ、ともに広げていくことを基本理念として掲げています。このインタビューシリーズでは、生活者一人ひとりが、自分らしく、いきいきと生きていける社会の実現を目指し、日々の仕事の先に存在する社会課題に対して、自らの「クリエイティブの力」「伝える力」「一人ひとりの個性」を主体的に発揮しながら取り組んでいる社員たちの声をお届けします。
クリエイティビティを活かし、社会課題に取り組む「TAP PROJECT JAPAN」
「TAP PROJECT JAPAN」は、博報堂DYグループの有志メンバーと(公財)日本ユニセフ協会による、「きれいで安全な水」を必要とする世界の子どもたちを支援する活動です。2009年に活動をスタートし、レストラン・カフェでの募金に加え、水に関する気づきを提供し募金を呼び掛けるための様々な施策を毎年企画・実施しています。お寄せいただいた募金は、清潔できれいな水を手に入れることができないアフリカ南東部の島国マダガスカル共和国の子どもたちの支援事業に役立てられます。これまでの活動で、マダガスカルの48の小学校に45か所の井戸や給水施設、169基のトイレを設置しました。
水と衛生の課題は、
SDGs(持続可能な開発目標)の目標6「安全な水とトイレを世界中に」だけでなく、
様々な社会課題とつながる重要なテーマ
【2017年度リーダーとしてメンバーをまとめ、プロジェクト全体を統括した横山瞳(博報堂)と、デジタルコンテンツのゲームプランニング、画面のアートディレクション、サウンドディレクションなどを担当した二口航平(博報堂アイ・スタジオ)】
横山
TAP PROJECT JAPAN(以下、TAP)は「デザインの力で社会課題を解決する」というビジョンのもと、水に対する気づきを提供し、募金を呼びかけるための様々な施策を毎年企画・実施しています。日本における活動をスタートしたHAKUHODO DESIGNの永井一史社長と一緒に毎年アイデアを形にしていくのが楽しくて、気づけば5回目の参加です。
二口
僕はもともと社会課題をテーマにした活動に興味があり、このTAPのビジョンがずっと気になっていました。TAPには4年前から参加しています。このプロジェクトが支援しているマダガスカルでは、全体の人口の半数、農村部では3人に1人しか基本的な飲み水を手にすることができません。また、「きれいで安全な水」を手に入れるために、子ども達が何キロも離れた場所から毎日水を運んでいる、という現実があり、子ども達の成長や学びの機会を奪ってしまう等、更なる問題につながっています。
©日本ユニセフ協会/2010/satomi matsu
横山
水と衛生の課題はSDGsの目標6「安全な水とトイレを世界中に」だけでなく、教育や女性の権利など、様々な社会課題とつながっているんですよね。TAPで今年実践した新しい取り組みは、“水の問題”だけを見るのではなく、そこから派生する社会課題にも視野を広げて考えることでした。
二口
今年開催したシンボルイベント「Road to Water」では、マダガスカルの子ども達の水運びの大変さを、センサーが内蔵されたバケツ型デバイスを使って擬似体験することで、日本で生活する方々に「水に関わる様々な問題」について関心を持っていただくことを目的としました。会場では、「水と○○」というテーマで「水」について様々な角度から考えたパネル展示や、オリジナルマガジンの制作・配布を行いました。
【左:会場で配布したTAP MAGAZINE/中央および右:イベントの様子。本イベントは、2017年8月21日(月)から8月24日(木)までの4日間、東京 代官山T-SITE GARDEN GALLERYにて開催しました。詳しくはこちらからご覧いただけます。
【会場には、「マダガスカルの子どもたちが直面する水問題」や「私たちの日常生活と水との関わり」をテーマとした展示のほか、これまでの支援で現地の小学校に設置した井戸の実物も再現しました。詳しくはこちらからご覧いただけます。
博報堂DYグループから集まった85人の有志の熱い想いをひとつに
横山
TAPは毎年有志メンバーが集まって取り組むソーシャルアクションなのですが、今回手を挙げてくれたのは85人!営業、ストラテジックプラニング、インタラクティブ、PR、メディアマーケティング、プロモーション、クリエイティブ、エンジニアなど、様々な職種のメンバーが集りました。私は現在マーケティングプラナーとしてブランド戦略や商品開発などに関わっているのですが、チームマネジメントやファシリテーションを実践的に学べたことは大きかったと思います。
【イベント最終日にて/日本ユニセフ協会の方々、学生ボランティアの皆さんと当社グループの有志メンバー】
二口
今回のプロジェクトでは、多様な専門性や強みをもった社員が、職種を越えて議論し、デジタルもリアルも交えながらつくっていくというプロセスが、僕にとっては新しい試みでした。かつてのような分業はもう当たり前ではなくなってきていて、広告業界も全体を統合してものをつくっていく時代の流れが来ている。そんな中で、自分がこれからどんな風にものづくりをしてくのかを考えるとてもいい機会になりました。
横山
みんなでアイデアを出し合うときから、マダガスカルの子どもたちの現地の様子を直接的に提示するのではなく、マダガスカルを支援したいという気持ちが大人にも子どもにも自然と起きるような体験をつくることを意識しました。このような「ポジティブな社会貢献」は、多様な専門性や強みをもっている博報堂DYグループだからこそ実現できることだと思います。
二口
「生活者に行動を起こさせること」は、広告会社が得意とする力だと思います。クリエイティブの力を活かして、自発的な気づきを促したり、気持ちのスイッチを入れるような仕組みづくりを目指しました。「ストーリーをつくって行動を起こさせる力」を社会課題に結びつけることが、今年は実現できたんじゃないかと思っています。
ソーシャルアクションの原動力は、
社会をハッピーにしたいという思いと、自分も楽しみながら成長できること
二口
ソーシャルアクションって、「自分の得意なことや好きなことに取り組むことで身近な人や世の中を少しでもハッピーにできるかもしれない」という些細な動機からでも僕はいいと思います。実現が難しいことや、仕事が並行してある中で時間が足りないときも、楽しむことができれば前向きな心持ちで取り組める。こうした想いを多くの人が持つことによって、社会全体にも波及するような、何かいい動きを生み出せるのではないかと思います。今回のプロジェクトでも、何より自分たちが楽しみながら成長できるということが大きなモチベーションになっていました。
横山
同じ志を持ったメンバーとともに、社会を幸せにするきっかけを生み出せたという手ごたえを感じました。これまでの私たちの取り組みが、より多くの人々にとって世界の社会課題やこれからの社会貢献の在り方について考える機会になっていることを願っています。
【プロフィール】
横山瞳(よこやま・ひとみ)
企業の宣伝・プロモーション担当を経て、現在は幅広い業界の商品やサービスのマーケティング戦略に携わる。
二口 航平(ふたくち・こうへい)
インタラクティブ領域を中心にデザイン/アートディレクションに携わる。現在はユーザーエクスペリエンスデザイン部門に所属。
【ご参考】
・TAP PROJECT JAPANの公式ホームページはこちら
・TAP PROJECT JAPANの公式フェイスブックはこちら
・日本ユニセフ協会公式Youtubeチャンネルでは、今年のイベント概要についてまとめた動画をご覧いただけます
【関連情報】
■博報堂DYグループに広がる、ソーシャルアクション!VOL.2
作文なんて怖くない! コピーライターの情報整理術から生まれた、ラクラク作文教室
■博報堂DYグループに広がる、ソーシャルアクション!VOL.3
東京広告協会主催、大学生による意識調査プロジェクト「FUTURE」。 マーケティングスキルとチームビルディングを学生に伝授!