吉川昌孝×森永真弓「企画書は2拍子と3拍子を使い分け!」
ラジオNIKKEI第2(通称:RN2【アールエヌツー】)は、
日本全国で聴取可能な、音楽番組を中心としたラジオ局です。
今回は、博報堂DYメディアパートナーズも制作に関わった
特別番組「終電までどうでしょう」を一部再構成してご紹介。
ゲストの“思い出のある音楽”という切り口から、
仕事の作法、ルーツ、人生観に至るまでを発見していく番組です。
MCは、メディア環境研究所の吉川昌孝所長代理、
ゲストは、メディア・コンテンツクリエイティブセンター「concreat」の森永真弓。
番組は、深夜終電時間が迫るちょっと前、
吉川と森永が架空の会社の休憩フロアーでばったり出会うところから始まります。
★RN2はIPサイマルラジオ「radiko.jp」でもお聞きになれます。
音楽を聴くときは和音とリズムとメロディーで
吉川:今日は森永真弓さんに、音楽にまつわる話をうかがいながら、人となりや仕事観などについて迫っていければと思います。早速ですが、最近気にある曲はありますか?
森永:実は私、音楽を聴くときは歌詞が全く頭に残らないタイプで、和音とかリズムとかが気になるんです。そんな中で「database featuring TAKUMA(10-FEET) /MAN WITH A MISSION」は、アニメの主題歌なんですが、歌詞が耳に飛び込んできた。振り向かせる力があるとか、空気が変わる曲には非常に敬意を払っているので、「ああ、この歌詞には何かある」と思って。で、テロップを見ると「database」とひたすら連呼してる。「なんだこりゃ!?」と(笑)。
吉川:アニメ自体も、ネットワークゲームの中で現実世界の人たちがサバイバルするというような設定ですね。
森永:このバンドのほかの曲も聴くようになり、サビのメロディーの感じとか、音の重ね方が気に入ってます。
「ソーシャルメディアの女王」の原点はロサンゼルスオリンピック!?
吉川:音の重ね方というのは?
森永:8~9歳の頃「Olympic Fanfare and Theme / John Williams」を聞いて衝撃を受けて。純粋に「音が重なるってすごい!」という衝撃と、場の空気を一瞬にして変える音楽の力、音楽が生み出す高揚感ってすごいなと思って。そのうち演奏している人に憧れを持つようになりまして。「あの中に混ざりたい」という欲求が原動力になるんですね。スポーツも見ているよりはやりたいって思うし、芸能人に会っても、「初めまして、サインください」っていうより、同等に面白い人として会いたいと思う。一方的に求めたり求められたりするのではなくて、互いを、「面白いですよね」と言い合える立場の出会いじゃないと意味がない。
吉川:いまのお仕事はまさにそんな感じですね?「ソーシャルメディアの女王」としてその界隈では誰もが知る存在となって。
森永:いえいえ!あれは、当時私が所属していた「ソーシャルメディア部」を略すとSM部なので、外部の方がふざけて私のことをSMの女王と言うようになって……。
吉川:そうなんだ!最初からすごいフォロワー数だから、それで「女王」なんだと思いました。でもいままさにそんな感じですね。
企画書は2拍子と3拍子を使い分ける!
吉川:「エマーソン・レイク&パーマー「タルカス」より「噴火」/ 吉松隆によるオーケストレーション版」。うーん、これはかっこいいですね。
森永:これは変拍子ということで選んだ曲です。私の母は佐賀県人なんですが、聞いているとしゃべりが全部3拍子なんです。例えば擬音とかも「ドンドンドン」とか「ワンワンワン」とかになる。「(1)終-(2)電-(3)まで (1)どう-(2)でしょ-(3)う」という風に。で、これを2拍子にすると、「(1)終-(2)電 (1)まで(2)、(1)どう-(2)でしょ (1)う-(2)。」と。この拍子の違いは企画書を書くときにも意識していて、たとえばお題がかわいらしい感じの企画書の時は丁寧語で3拍子で作った方が、やさしい印象にできる。
吉川:逆に押せ押せで、断定的にしたい場合は2拍子で。
森永:そうそう、「です!」「ます!」みたいな感じの時は2拍子でガンガン押したほうがいいですね。タイトルも、余裕があるときは、句読点をどこに入れるかとか拍子を意識しながら考えますね。
吉川:自分はレクチャー系が多いので、長いと90分とかになる。そうすると全体の構成をライブのように、最初はドカーンと派手な曲にして、一度バラードで静かにさせて…などは考えますね。プレゼンも人が聞いているものだから、リズムを意識するというのはかなり納得です。
全体構成でクリエイティブのパワーを最大化させる
吉川:以前森永さんに教えてもらった、アニメ「シドニアの騎士」1回目のオープニング曲「シドニア / Angela」がすごくカッコよくて、家で子どもたちもどハマリしたんです(笑)。この曲の構成感、森永さんにぴったりだなと思った。今回のお話でも、音の重ね方とか、組み立て方とかを気にされたり…。やはり森永さんの力は構成力ですね。いままでの広告業界はクリエイティブで最後一点突破するというのも多かったけど、いまはマスもネットもあって、それら全部をシステマティックに使っていかないといけない。だから森永さんのような人がますます求められる気がしますね。かなり大言壮語ですが(笑)。
森永:いえいえ(笑)。でもやっぱり音楽とかクリエイティブの力とか、ガツッと来る強いパワーを私はすごく信じていて、そのパワーを全体構成感で、価値最大化するのを手伝っていけたらいいなと思っています。
吉川:そうですね、そんな感じですね。今日はありがとうございました。
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■プロフィール
吉川 昌孝 (よしかわ まさたか)
メディア環境研究所 所長代理
1989年博報堂入社。マーケティングプラナー、博報堂フォーサイトコンサルタントを経て、生活総合研究所に着任。未来予測プロジェクトのリーダーとして「態度表明社会」(2009年)「総子化」(13年)「デュアル・マス」(15年)等、生活者とマーケティングの未来像を発表。15年より現職。著書に「亜州未来図2010」(03年)「『ものさし』のつくり方」(12年)などがある。 30年以上Rolling Stonesのファン。最近は大森靖子のライブに足繁く通っている。
森永 真弓 (もりなが まゆみ)
メディア・コンテンツクリエイティブセンター「concreat」
通信事業会社を経て、2001年博報堂入社。インターネット領域、特にソーシャルメディアを中心とした生活者・メディア動向の研究やシステム開発、コミュニケーションビジネスに携わっている。15年より、コンテンツやメディア活用も含めた視野でコミュニケーションを構築するクリエイティブチーム「concreat」で、デジタル活用をコミュニケーション基盤に追いた設計に取り組んでいる。WOMマーケティング協議会理事。自称「かろうじてコミュニケーション力がある方のオタク」。共著に『グルメサイトで★★★(ホシ3つ)の店は、本当に美味しいのか』(マガジンハウス)。