メディアは“スペース”ではなく、アイデアとイノベーションの“プラットフォーム”

「我々メディアエージェンシーの人間は簡単に“アイデア”に恋をしてしまいがちだけど(笑)、メディア部門として本当にふさわしいグランプリを選出しよう」

メディア部門の審査は、ジュリープレジデントのこんな発言からスタートしました。今年のメディア部門エントリー数は430。その中からベスト・オブ・ベストを選ぶために集まった審査員は7カ国から8名。シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、インド、韓国、中国、そして日本。全員がメディアエージェンシーからの参加です。そのためか、それぞれのお国柄はありながらも全体としては共通の環境認識、価値観やビジョンを共有できていたので、審査のクライテリア(審査基準)に沿って“芯を食った”濃密な議論をすることができました。

「インサイト&アイデア」「ストラテジー&ターゲティング」「エグゼキューション」「リザルト」。これらの基本的な4つのクライテリアをベースに特に重視したポイントは、データやテクノロジーの活用によるメディア戦略の進化、購買プロセス全体を通してのROI、スケーラビリティ、ブランドにとっての意味。そして、メディアは“スペース”ではなく、アイデアとイノベーションの“プラットフォーム”であるという共通認識のもと議論を尽くしました。ロジカルに、でもクリエイティビティに対する“恋バナ(話)”でもピュアピュアに盛り上がったりして。

グランプリは、スニッカーズ『Hungerithm』

グランプリに輝いた『Hungerithm(Mars)』は「スニッカーズ」らしい、ちょっと“やんちゃ”な(?)キャンペーンです。ソーシャルメディア上に現れる“怒り”をリアルタイムに計測し、その動きに合わせて販売価格を変動させるというアイデアを、メディア/データ&テクノロジー/流通のコラボレーションによって実現させました。マーケティングをトランスフォームするメディアの可能性を示し、さまざまな業種のすべてのマーケッターをモチベートする“強さ”があるということが栄冠の決め手になったと思います。(Hungerithmはモバイル部門でもグランプリを獲得しました)

生活者の「WOW!」が企業のビジネスを動かす

この他にも『Life Saving Stickers』や博報堂ケトルの『Dentapple』など、生活者への愛(なんか恋だの愛だの・・・すみませんw)が普遍的なソリューションであることにあらためて気付かせてくれるエントリーが複数受賞している点も、今年のSpikesメディア部門の特長と言えるかもしれません。「Not just technology, but utility that truly helps.」とはプレジデントの言。アイデアとテクノロジーが共鳴して引き起こす生活者の「WOW!」が、クライアント企業のビジネスを動かすのですよね。

ますます複雑化するメディア環境ではあるけれども、そこにはコミュニケーションビジネスの無限の可能性がある。課題解決は簡単ではないけれども、そこにガチンコでチャレンジするチームには絶対にブレイクスルーする力が宿る。さて次は、どんなWOW!が、どこから生まれてくるのだろう?僕らの生み出す新しいWOW!は世界に届くだろうか?今年の審査を終えて帰国早々、来年はもっと楽しみ!になってしまうほどSpikes Asiaはベスト・オブ・ベストのショーケース。是非チームで、できるだけたくさん、受賞作を見てみてください。

 

中澤 壮吉(なかざわ そうきち)
データドリブンメディアマーケティングセンター センター長代理

1995年に博報堂入社。媒体、営業および統合コミュニケーションプラニング領域の経験を経て2015年より現職。DMP開発推進、データアナリティクス、メディアプラニング、デジタルマーケティング機能を統括し、メディアとマーケティングの統合~高度ソリューション化を推進している。2016年にアドフェスト(メディア部門、ブランデッドコンテンツ&エンタテインメント部門)、2016年にスパイクスアジア(メディア部音)で審査員を務めた。

 

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