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電子母子健康手帳【でんしぼしけんこうてちょう】
1942年「妊産婦手帳」として始まり、1965年「母子健康手帳」となった。母子保健法第16条により妊産婦、乳児及び幼児に対する健康診査及び保健指導の記録を行うことが規定され、妊娠期から乳幼児期までの間の発育状況など健康に関する重要な情報が1つの手帳で記録、参照、活用できることが大きな特徴である。
■日本から世界へ
2008年開催の洞爺湖サミットにて、乳幼児死亡率の低減や妊産婦の健康改善の具体的貢献策として母子健康手帳の普及が提言され国際的に注目を集めた。この提言によりJICA(国際協力機構)は中南米やアフリカで普及活動を進め、現在ではアジア地域にも広がりつつある。
■災害情報から守られた電子情報
東日本大震災では、津波に襲われた地域の妊婦情報、母子健康手帳が一瞬で消失した。しかし「岩手県周産期医療情報ネットワーク(いーはとーぶ)」のデータが岩手医大と香川県のサーバに保存されていたため、母子健康手帳の復元、内陸部の医療機関への紹介に威力を発揮。国は、災害に強いネットワークシステムと医療情報の電子化が必要だと考えるようになった。
■情報量の増加と電子化の必要性
母子健康手帳は1991年から20数ページも増加しており、情報量の増加と適時更新が課題となっている。また、子供の成長に係る情報の継続性について十分に配慮する必要があり、その情報提供と電子化が望まれている。
■情報の電子化に際し必要な標準化
現在、いくつかの母子健康手帳の電子化プロジェクトが発表されている。しかし、その情報の内容や記録に統一された方式はなく、将来的に統計的な分析や情報の統合活用等が行えないと危惧されている。数値情報の記録法を標準化することは重要であり、早期に制定する必要がある。